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オープン就労・クローズ就労のどちらを選ぶ?自分に合った働き方のヒント

公開日:

障害のある方の働き方には、大きく分けて、障害を開示してはたらく「オープン就労」と、非開示ではたらく「クローズ就労」の2つがあります。基本的に、障害を開示するかどうかは本人の意思に委ねられるため、どちらを選ぶか悩んでいる方もいるかもしれません。

この記事では、オープン就労・クローズ就労それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、自分に合った働き方を選ぶヒントを紹介します。

「オープン就労」と「クローズ就労」について

まず、オープン就労とクローズ就労とは、それぞれどのような働き方なのかを見ていきましょう。

オープン就労とは

「オープン就労」とは、会社や職場に障害を開示してはたらくことです。主に「障害者雇用枠でのオープン就労」と「一般枠でのオープン就労」の2種類が選べます。近年は、障害を限られた範囲にのみ開示する「セミオープン就労」という働き方も広がりつつあります。

クローズ就労とは

「クローズ就労」とは、会社や職場に障害を開示せずにはたらくことです。なお、障害者雇用では、障害者手帳の取得と職場への障害開示が前提となるため、クローズ就労を希望する場合は、主に一般枠ではたらくことになります。

オープン就労とクローズ就労が異なる5つのポイント

オープン就労とクローズ就労がどのように違うのか、5つの視点から比較しました。

オープン就労クローズ就労
合理的配慮の得やすさ・障害特性をあらかじめ共有できる
・適切な配慮・サポートを受けられる可能性が高まる
・障害について伝えていないため、会社側からの積極的な合理的配慮は期待できない
・特性に起因する困りごとがあっても相談しにくい
求人の種類や件数・求人数が比較的少ない
・障害があることを前提とした求人なので、はたらきやすさが実現しやすい
・求人数が比較的多い
・高度なスキルが要求される業務や残業があるなど、オープン就労と比べ難易度の高い求人も多い
キャリアアップへのアプローチ・合理的配慮の観点から、業務調整が行われ、キャリアアップの選択肢が狭まることもある
・適切な合理的配慮の下で着実に経験とキャリアを積める
・周囲と同様の評価基準が用いられるため、能力や努力次第でキャリアアップできる可能性がある
・障害特性は考慮されず評価されるので、高い能力やスキル、自己管理能力が問われる
就労支援の活用範囲・安定就労のためのさまざまな支援が受けられる・就労支援の範囲が限られる
心理的な負担・障害があることを隠す必要がないため、自分らしくいられる
・理解のない職場だと、差別や偏見への不安を感じることがある
・障害があることに対する心ない視線や対応が避けられる
・非開示のプレッシャーに常にさらされ、周囲に相談もしにくい

適切な合理的配慮の得られやすさ

はたらくうえで、適切な合理的配慮が得られやすいのはオープン就労です。障害があることや、障害特性をあらかじめ会社・職場に共有しておくことで、次のようなメリットが得られます。

  • 双方の合意の下、適切な配慮やサポートが提供される可能性が高まる
  • 通院や体調不良による休暇申請がスムーズに通りやすい
  • 会社側から積極的な声かけが行われやすく、悩みを一人で抱える心配が減る

一方、クローズ就労では、個々の障害特性はもちろん、障害があることすら伝えないままはたらくことになります。そのため、障害に起因する困りごとがあったとしても、職場に相談しにくいと感じることもあるでしょう。また、障害があることや、配慮事項を事前に共有しないまま就職しているので、就職後に配慮やサポートを求めても、会社の状況や業務内容によっては必ずしも応じてもらえるとは限りません。

求人の種類や件数

オープン就労では、一般枠のほか、障害者雇用枠の仕事が選択できます。ただし、障害者雇用枠は一般枠と比べ、求人件数が少なく、また、障害があることに配慮し、心身への負担の少ない業務に限定される傾向にあります。しかし、求人自体は少なくても、障害者雇用や障害理解、合理的配慮の提供に積極的な会社も多いので、安定してはたらき続けることを重視する方にとって、有力な選択肢となるでしょう。また、あらかじめ障害があることや個々の特性を踏まえて仕事を選び、会社に求める配慮事項を共有したうえで就職できるため、長く安定してはたらける可能性が高まります。

一方、クローズ就労を選択する場合、選択肢は一般枠の仕事のみとなりますが、豊富な求人の中から、希望や条件に合う仕事を選べます。ただし、一般枠は、障害の有無にかかわらず同じ条件で転職・就職活動や就労することになるため、企業の状況や業務内容によっては、必ずしも適切な合理的配慮が得られるとは限りません。そのため、自分に合った仕事・環境や、はたらきやすさを慎重に見極めることが重要になります。

キャリアアップへのアプローチ

オープン就労とクローズ就労では、キャリアアップを目指す際のアプローチの仕方が異なります。キャリアアップにおけるオープン就労とクローズ就労の違いを以下にまとめました。

働き方メリットデメリット
オープン就労・業務や勤務時間などへの合理的配慮が得られる
・無理なく着実に実績を積める
・長く安定したキャリアを築きやすくなる
・スキルや経験を積むチャンスがなかなか得られないことがある
・特性に配慮した評価基準が設定されているため、成長の機会やキャリアパスの選択肢が少ない傾向にある
・障害や特性に考慮した業務配置や配分、勤務時間に調整された結果、思うような給料が得られない可能性がある
クローズ就労・周囲と同じ評価基準が採用される
・自分の頑張りが評価につながりやすい
・キャリアや収入アップの選択肢が比較的多い
・合理的配慮や特別なサポートは受けられない
・キャリアアップを目指すには高度なスキルやマネジメント能力が求められる
・はたらきづらさから、安定就労につながりにくいこともある

オープン就労の場合、合理的配慮の観点から、能力や実績よりも、障害特性を考慮した調整・配置が行われる傾向にあります。合理的配慮によってキャリアが制限される可能性もありますが、長く安定してはたらきやすくなります。実績・長期勤続などによる正社員登用制度や、専門職へのキャリアパスのある会社に就職すれば、努力次第でステップアップも可能です。

対して、クローズ就労を選ぶ場合、障害のある方本人が望まない限り、合理的配慮の一環としての業務内容や業務量、勤務時間、配置などの調整は行われません。そのため、努力や実績が職務評価につながりやすく、キャリア・収入アップの選択肢も豊富です。しかし、障害がありながら、配慮やサポートを受けず、周囲と同じようにはたらくことは決して簡単ではありません。また、キャリアアップを目指すには、高度なビジネススキルやマネジメント能力に加え、症状や体調の悪化防止のための自己管理が求められ、障害特性によってははたらきづらさを感じるかもしれません。

就労支援の活用範囲

現在、障害のある方が長く安定してはたらけることを目的に、さまざまな就労支援が提供されています。代表例は、障害者総合支援法に基づく次の4種類の就労支援制度です。

就労支援の種類概要
就労移行支援原則65歳未満の方が、最長2年間、一般企業ではたらくための職業訓練を受けられる
就労継続支援A型一般就労が困難な65歳未満の方が、事業所と雇用契約を結び、賃金を得ながら知識・能力向上が目指せる
B型一般就労や、その他の事業所での就労が困難な方が、雇用契約は結ばずに、生産活動や就労に必要な訓練・支援を受けつつ、工賃が得られる
就労定着支援各種就労支援を利用して就職し、6ヶ月以上経過した方が、最長3年間、現在の仕事や職場、働き方に関するアドバイスや、連絡・調整を受けられる
就労選択支援就労移行支援や就労継続支援などの利用を希望する方が、より良い仕事・働き方を選択できるよう、最長2ヶ月間、作業体験を通した職業アセスメントを受けられる

こうした就労支援制度を最大限に活用するには、オープン就労を選択する必要があります。就労支援の中には、適切な連絡・調整のため、企業との連携が不可欠なものもあるからです。クローズ就労でも利用できる就労支援もありますが、その支援内容は基本的に本人との面談や個人的なアドバイスのみであり、活用範囲が限られます。

さらに、障害者手帳を取得している方がオープン就労を選択する場合、上記のような就労支援に加え、障害者雇用に特化した民間の転職・就職支援サービスが利用できるようになります。こうした転職・就職支援サービスでは、一般公開されない非公開求人の紹介が受けられるほか、専門のキャリアアドバイザーから個々の特性に応じた転職・就職活動のサポートが受けられるので、自分に合った仕事に出会える可能性が高まるでしょう。

心理的な負担

オープン就労を選べば「障害があることを隠しながらはたらく」という心理的な負担が軽減します。しかし、開示を選択する以上、障害というプライベートなことをオープンにしなければなりません。個々の考え方や職場環境によっては、障害開示による心ない差別や偏見への不安を感じることもあるでしょう。そのため、オープン就労ではたらきやすさを実現するには、障害への理解のある職場探しが鍵となります。

逆に、障害を開示すること自体に抵抗感を覚える方にとっては、クローズ就労のほうがストレスなくはたらけるかもしれません。しかし、クローズ就労だと「障害があることを隠している」というプレッシャーに常に見舞われます。そのほか「バレたらどうしよう」という不安に苛まれたり、職場に困りごとや悩みを相談できる相手がいないという不安感・孤独感を抱えたりするリスクが生じることにも注意しなければなりません。

オープン就労とクローズ就労に関してよくある質問

ここからは、オープン就労とクローズ就労に関してよくある疑問・質問を集めました。

クローズ就労はバレる?迷惑をかけてしまったりつらかったりしないか心配…

結論として、外見から判断できる障害があったり、自分から伝えたりしない限り、障害の有無が周囲にバレることはほとんどありません。しかし、次のようなシーンで、障害があると伝わってしまうことはあり得ます。

  • 職場の人との何気ない会話の中でうっかり話してしまう
  • 税金の金額で担当者に勘づかれる
  • 頻繁な通院や体調による休暇取得や欠勤

また、障害を開示せずにはたらくストレスや負担から、症状や体調が悪化し、結果として周囲に負担がかかったり、自分をさらに追い詰めてしまったりすることもあるかもしれません。

はたらくうえで必要な配慮の内容や程度によって、障害開示・非開示のどちらが良いかが変わります。開示するかどうか悩んだときは、障害者雇用の専門家や自分の事情を知る方とも相談しながら、どのような働き方が合っているか考えてみてください。

一般枠や障害者手帳なしでオープン就労できる?

働き方にかかわらず、会社や職場に障害を開示するかどうかは任意です。同じく、オープン就労を選択するにあたって、障害者手帳の有無は問われません。ただし、障害者雇用枠の仕事に応募できるのは、障害者手帳を取得している方のみです。そのため、障害者手帳なしでオープン就労を選択する場合は、必然的に一般枠での障害開示となります。

就労移行支援事業所への通所後にクローズ就労を選べる?

就労移行支援事業所に通所した方でも、クローズ就労を選択することは可能です。就労移行支援は、障害があり、一般企業での就労を目指す方が、障害者手帳の有無を問わず利用できる制度です。通所後、クローズ就労を選択して就職活動を進める方もいます。

ただし、クローズ就労では、企業と連携した職場定着支援は受けられないため、あくまでも個人の相談に留まります。加えて、就労移行支援での訓練後に紹介が受けられる求人は障害者雇用枠が中心です。そのため、応募できる仕事の選択肢が狭まる可能性があるほか、就職活動を個人で進めなければならなくなる可能性もあります。

大切なのは「障害を隠すか」ではなく「自分らしくはたらき続けられるか」

オープン就労とクローズ就労は、いずれも障害がある方の働き方の選択肢に過ぎず、一概にどちらかが良い・悪いと決められることではありません。大切なのは、障害を隠すかどうかではなく「どちらの働き方のほうが自分らしくはたらけるか」という視点です。障害非開示で合理的配慮による調整を受けず、スキルや経験を活かしてキャリアアップを目指すことも可能ですし、障害を開示して、個々の特性に応じた配慮・サポートを得ながらはたらくことも選べます。障害特性や合理的配慮の必要性を踏まえ、どのような働き方が自分らしいか、活き活きとはたらけるかを考えてみてください。

障害を開示するかどうか迷っているなら、障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」で、同じような境遇にある方や、経験のある方の話を聞いてみませんか。オープン就労・クローズ就労の経験者に話を聞くことで、自分らしい働き方のヒントが得られるかもしれません。あなたの悩みや葛藤を、仲間と分かち合い、自分にとってベストな働き方を一緒に探しましょう。

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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