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障害者手帳で確定申告の障害者控除を受けるには?控除額・申請方法を解説

公開日:

障害者手帳をお持ちの方は、確定申告や年末調整で「障害者控除」を適用できる可能性があります。障害者控除は経済的な負担軽減につながりますが、複雑な制度なので「どの手帳が対象か」「どれくらい税金が安くなるか」「会社員でも必要か」など、不明点もあるでしょう。本記事では、障害者手帳をお持ちの方が障害者控除を確定申告で利用する方法や、必要書類などについて分かりやすく解説します。

障害者手帳があると確定申告で受けられる「障害者控除」とは

障害者控除」は障害のある方や、障害のある家族を扶養している方の税負担を軽減するための控除制度です。まずは障害者控除の基本的な仕組みを解説します。

障害者控除の概要

障害者控除とは、所得税や住民税を納める際に一定額を所得から差し引ける制度です。次のいずれかに該当する方は、障害者控除を活用することで課税所得が少なくなるため、最終的な税負担を軽減できます

  • 障害者手帳を所持している
  • 同一生計配偶者や扶養親族が障害者手帳を所持している

なお、「障害者控除」は障害年金とは別の制度なので、障害年金を受給しているかどうかに関係なく条件を満たせば申告可能です。

障害者控除で税金がどれくらい安くなる?

障害者控除を受けると、課税対象となる所得が減るため所得税や住民税が軽減されます。例えば、所得税の場合は障害者手帳の等級によって27万円もしくは40万円の控除が適用され、税率によってはトータル数万円ほど税負担が軽くなるケースもあります。長期的に見ると家計への影響は決して小さくないため、適切に活用することが重要です。

障害者手帳を取得した時期から障害者控除を利用できる

国税庁の公式サイトによると、障害者控除を適用するためには、基本的にその年の12月31日に障害者手帳を所持している必要があります。例えば、12月20日に障害者手帳を取得した場合、その年の年末調整や確定申告で障害者控除を適用可能です。なお、身体障害のある方は障害者手帳を申請中の場合でも、障害者控除を利用できるケースがあります。

年末調整と確定申告の違い

会社員の場合は基本的に確定申告を行う必要はなく、年末調整で手続き可能です。その場合は、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」の障害者控除欄へ必要事項を記入し、勤務先に提出しましょう。一方で、次のような場合は自分で確定申告を行う必要があります

  • 年末調整で申告し忘れた
  • 個人事業主・フリーランスである
  • 医療費控除などの控除もまとめて申告したい
  • 退職後で年末調整を受けられない
  • 会社に障害について知られたくない

また、過去に障害者控除を忘れていた場合でも、「更正の請求」で5年前の分までさかのぼって還付が受けられる可能性があります。

障害者手帳があれば障害者控除が自動適用されるわけではない

障害者手帳があるからといって、自動的に障害者控除が適用されるわけではなく、毎年の年末調整・確定申告のタイミングで手続きを行う必要があります。また、障害年金を受給している場合でも、障害者控除は自発的な申請が必要なので注意してください。

障害者控除の対象になる障害者手帳の種類

障害者控除を受けるためには、一定の条件を満たしている必要があり、「障害者手帳の有無」と「障害等級」が特に重要です。手帳を持っていれば同じ扱いになるわけではなく、障害等級や自治体の判定基準によって、「一般障害者」か「特別障害者」に分かれます。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体機能に一定以上の障害があると認定された人に交付される手帳で、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・内部障害などが対象となります。障害等級によって次のように区分が異なります。

1級・2級特別障害者
3級〜6級一般障害者

重度の肢体不自由や視覚障害で1級・2級に該当する場合は「特別障害者控除」となり、控除額がより大きくなります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、うつ病・双極性障害・統合失調症・不安障害などの精神疾患や、発達障害によって生活・就労に制限がある人に交付される手帳です。近年では、発達障害や精神障害と付き合いながらはたらく人も増加しており、障害者控除の対象者も拡大しています。

1級特別障害者
2級・3級一般障害者

精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の場合、「会社に知られたくない」という理由から年末調整での障害者控除申告を避ける方も少なくありません。その場合は確定申告で手続きすることで、会社にバレるリスクを減らして申告可能です。

療育手帳(愛の手帳)

療育手帳は、知的障害があると判定された人に交付される手帳です。自治体によって名称や区分が異なるため、税法上の「一般障害者」「特別障害者」の扱いも、ほかの障害者手帳と違って全国一律ではありません。 重度判定(A判定など)の場合は特別障害者、中軽度判定(B判定など)の場合は一般障害者として扱われるケースが多いですが、詳細は税務署や自治体窓口に確認しましょう。

確定申告における障害者控除の控除額一覧

障害者控除には次の3種類のものがあり、どの区分に該当するかによって、所得税や住民税の控除額が変わります。

  • 一般障害者控除
  • 特別障害者控除
  • 同居特別障害者控除

また、所得税と住民税では控除額が異なるうえに、実際にどれくらい税金が安くなるかは、年収や所得税率によって異なる点に注意してください。

一般障害者控除の金額

一般障害者控除の控除額と対象者は次のとおりです。

控除額  所得税:27万円
住民税:26万円
対象者   身体障害者手帳3級〜6級
精神障害者保健福祉手帳2級・3級
中軽度の知的障害(自治体によって異なる)

特別障害者控除の金額

重度の障害がある場合は「特別障害者控除」を適用でき、その控除額と対象者は次のとおりです。

控除額所得税:40万円
住民税:30万円
対象者身体障害者手帳1級・2級
精神障害者保健福祉手帳1級 
重度知的障害

一般障害者控除より税負担の軽減効果が高いため、障害年金を受給しながらはたらいている方にとって心強い制度です。

同居特別障害者控除とは

特別障害者に該当する家族と同居している場合は「同居特別障害者控除」を利用できます。

控除額  所得税:75万円
住民税:53万円
対象者特別障害者本人を扶養し、同居している

例えば、重度障害のある親や子ども、配偶者と同居しながら生活を支えている場合が該当します。

障害者手帳のある方が確定申告で障害者控除を適用する方法

個人事業主・フリーランスとしてはたらいている場合や、何らかの理由で年末調整で申告できない方は、次のポイントを意識して確定申告で手続きしましょう。なお、通常11月~12月ごろに行われる年末調整とは異なり、確定申告手続きは翌年2月16日から3月15日(e-Taxの場合は翌年1月上旬から)となるため、スケジュールに注意が必要です

確定申告の障害者控除で必要な書類

障害者控除を申請する際には、次のような書類が必要になります。

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票(会社員の場合)
  • マイナンバーカードまたは本人確認書類
  • 障害者手帳
  • 各種控除証明書(生命保険料控除など)
  • 還付先口座情報

要介護認定などで「障害者控除対象者認定書」が発行されている場合は、その書類が必要となるケースがあります。会社員の場合は、勤務先から発行される源泉徴収票が税額計算に必要なので、あらかじめ準備しておきましょう。

障害者手帳やコピーが必要な場合もある

e-Tax(電子申告)の場合は、障害者手帳の画像アップロードなどは不要で、申告内容に基づいて自動的に処理されます。ただし、郵送での申告や税務署での対面申告の場合は、障害者手帳やコピーの提示を求められるケースがあるため、事前に税務署に確認しておきましょう。

確定申告書の障害者控除の記入欄と書き方

障害者控除は、確定申告書の「所得から差し引かれる金額(所得控除)」の欄に記載しますが、その際に次の情報が必要となります。

  • 本人が障害者か扶養家族か
  • 一般障害者か特別障害者か
  • 同居特別障害者に該当するか

e-Taxでは選択式になっていますが、紙の申告書で提出する場合は記載ミスに注意してください。申告内容に不安がある場合は、税務署に相談してから手続きを進めると安心です。

e-Taxで障害者控除を申告する場合の流れ

近年では、国税庁のe-Taxを利用してオンラインで確定申告する人が増えており、次のようなメリットがあります。

  • 税務署へ行く必要がない
  • 書類を郵送する手間がかからない
  • 24時間いつでも手続き可能
  • 還付がほかの方法より早い

障害者手帳をお持ちの方がe-Taxで確定申告を行い、障害者控除を適用

する流れは次のとおりです。

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」へアクセス
  2. 収入や控除情報を入力
  3. 「障害者控除」欄で該当内容を選択
  4. 送信して申告完了

ただし、原則としてマイナンバーカードとICカードリーダー、もしくはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。マイナンバーカードがない場合は、書類を郵送するか税務署での対面申告を行いましょう。

税務署で障害者控除を申告する場合の流れ

障害者手帳をお持ちで障害者控除を利用できるものの、確定申告に不安がある場合は、税務署で対面申告することも可能です。ただし、税務署内には基本的に確定申告の作成窓口は設置されていないので、「確定申告会場」に行く必要があります。税務署で申告する場合の基本的な流れは次のとおりです。

  1. 必要書類を準備する
  2. 所定の確定申告会場へ行く
  3. 職員の案内に従って申告書を作成
  4. 内容確認後に提出

ただし、確定申告シーズン(2月〜3月)は混雑しやすいため、障害特性や症状などで不安がある方は、税理士や自治体による無料相談会も検討してみましょう。

会社員で障害者控除の確定申告が必要なパターン

自営業者やフリーランスは確定申告が必須ですが、会社員は年末調整で障害者控除を適用するのが原則です。しかし、次のようなケースでは会社員の方も確定申告が必要になります。

年末調整ができなかった場合

「年末調整を忘れていた・間に合わなかった」「年末調整後に障害者手帳を取得した」などの場合、確定申告を行うことで障害者控除を適用できます。過去5年間についても「更正の請求」を行うことで、払い過ぎた所得税や住民税の還付を受けられる可能性があります。

勤務先に障害について知られたくない場合

精神障害や発達障害があって、一般雇用枠で障害を非開示で就労(クローズ就労)している方は、「会社に知られずに障害者控除を適用したい」とお悩みでしょう。年末調整で障害者控除を適用すると、勤務先に障害者手帳を所持していることが知られる可能性があります。

そのような場合は、自分で確定申告を行うことで勤務先を介さずに障害者控除を適用できます。ただし、住民税は前年の所得によって決まるため、障害控除を適用すると「住民税決定通知書」に記載の納税額が変わり、何らかの事情が間接的に推測される可能性はゼロではありません。詳細については、管轄の税務署にお問い合わせください。

副業収入がある場合も確定申告が必須

収入から経費を引いた「副業所得」が年間20万円を超える場合は、会社員であっても確定申告が必要になります。未申告のまま放置すると、あとから税務署からの照会や追徴課税が行われるリスクがあるため、必ず確定申告を行って障害者控除を適用するようにしましょう。

障害者手帳のある方がはたらくうえで知っておきたい支援制度

障害者控除は、税負担を軽減しながらはたらくための重要な制度ですが、障害のある方はそれ以外にも「はたらきづらさ」や「生きづらさ」を抱えているケースが多いです。障害者のための支援制度を活用することで、不安や悩みを解消しやすくなります。

就労に関する専門的な支援機関

仕事でうまくいかないことがあるとき、「自分の能力や努力が不足しているのでは」と考えることがあるかもしれませんが、実際には「環境が合っていない」というケースが多いです。

  • 職場環境に強いストレスを感じる
  • 障害特性や症状のコントロールが難しい
  • 人間関係で極端に消耗してしまう

こうしたお悩みがある場合は、一人で抱え込もうとするのではなく、「就労移行支援」や「障害者雇用専門の転職・就職エージェント」などの専門支援を活用することも重要です。

障害のある方が参加できるコミュニティ

「はたらきづらさ」や「生きづらさ」など、障害に関する悩みは周囲へ相談しづらいものです。かかりつけの医師やカウンセラー、転職エージェントといったプロには話しづらいこともあるでしょう。同じ境遇にある方が身近におらず、孤独を感じてしまう方も多いです。 つらいことがあったとき、相談できる仲間がいると心強いです。近年では、障害のある方がオンラインで参加できる「コミュニティ」が増えています。同じ境遇にある仲間とつながることで、不安や悩みと向き合うためのヒントが得られるでしょう。

障害や働き方に関する悩みを「あしたのあるきかた」で共有してみませんか?

障害者手帳をお持ちの方は、障害者控除を適用することで税負担を軽減できます。会社員の方は年末調整で障害者控除を利用できますが、「年末調整を忘れた」「会社にバレたくない」「自営業者である」などの場合は、今回ご紹介した方法で手続きしましょう。

障害のある方は、日々の生活や仕事の中でさまざまな悩みや不安があるものです。障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」では、障害のある方と交流しながらさまざま不安や悩みを共有できます。支え合える仲間と出会うために、この機会にぜひコミュニティに登録してみてください。

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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