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精神障害者の障害者手帳を更新できなかったらどうなる?期限切れ時の影響と対処法

障害者手帳のうち、精神疾患や発達障害のある方が対象となる精神障害者保健福祉手帳には有効期限があるため、定期的な更新手続きが必要です。しかし、体調不良や診断書作成の遅れなど、さまざまな事情で更新できなかったというケースがあります。障害者手帳の更新期限を過ぎた場合は、障害者手帳の効力や利用できるサービスに制限が出るかもしれません。
本記事では、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を更新できなかった場合にどうなるかに加えて、期限を過ぎた際の対処法や再申請の流れなどを解説します。
障害者手帳を更新できなかったらどうなる?
障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳(愛の手帳)」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。その中で、精神疾患・発達障害のある方が対象となる精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患の症状が回復する場合があるため、有効期限が設けられています。
精神障害者保健福祉手帳を期限内に更新できなかった場合、どのような影響があるかについて次の4つのポイントから見ていきましょう。
- 障害者手帳のうち「精神障害者保健福祉手帳」には有効期限がある
- 更新期限を過ぎると障害者手帳は失効する
- 障害者雇用への影響は限定的
- 障害年金が自動的に停止されるわけではない
障害者手帳のうち「精神障害者保健福祉手帳」には有効期限がある
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は、原則として交付日から2年間です。有効期限を迎える前に更新申請を行うことで、さらに2年間は障害者手帳を所持できるようになります。
身体障害者手帳や療育手帳(愛の手帳)には有効期限が原則ありませんが、精神障害者保健福祉手帳は「必要性が客観的に認められるか」を定期的に確認する必要があるため、有効期限が設けられています。有効期限は手帳に記載されているため、更新スケジュールを確認しておくことが大切です。
更新期限を過ぎると障害者手帳は失効する
精神障害者保健福祉手帳は、有効期限を過ぎると原則として失効してしまいます。期限が切れたからといって、すべての支援がただちに停止されるわけではありませんが、次のような障害福祉サービスに影響が出る可能性があります。
- 税制上の特例措置
- 医療費助成制度
- 公共交通機関の割引
- 各種施設の利用料割引
- 自治体の福祉サービス
障害者雇用への影響
障害者雇用枠で就労している場合は、精神障害者保健福祉手帳を更新できなかった場合でも、ただちに解雇されたり一般雇用枠に変更されたりすることは少ないです。ただし、現行制度では障害者手帳の有効期限が切れていると「障害者雇用率の算定対象」にならない可能性があるため、職場の上司や人事担当者に早めに相談しましょう。
なお、2026年6月に厚生労働省は、今後の障害者雇用率制度等の在り方として、精神障害者保健福祉手帳が更新されなかった場合でも、約1年間は障害者雇用率の算定対象とする方向で調整を進めています。
障害年金が自動的に停止されるわけではない
障害年金は障害者手帳とは別の制度であるため、精神障害者保健福祉手帳が失効したことだけを理由に、障害年金が自動的に停止されることはありません。障害年金には独自の認定基準や更新制度があるため、受給期間も障害者手帳の有効期限とは連動していないのです。
障害者手帳を更新できないケース
精神障害者保健福祉手帳を必要とする方が更新申請した場合、基本的には承認されるケースが多いです。しかし、次のようなパターンに該当する場合は、障害者手帳を更新できない場合があります。
- 有効期限までに更新手続きができなかった
- 症状改善で認定基準を満たさなくなった
- ご自身で「手帳を更新しない」ことを選んだ
有効期限までに更新手続きができなかった
次のような理由から有効期限までに更新手続きができず、障害者手帳が失効してしまうケースがあります。
- 更新期限に気付かなかった
- 体調不良や症状悪化で手続きできなかった
- 診断書の準備が間に合わなかった
- 引っ越しや環境変化などで忘れていた
特に精神疾患のある方の場合は、社会的手続きに関して活動制限が生じていて、更新手続きそのものが大きな負担になることがあります。
症状改善で認定基準を満たさなくなった
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患や発達障害の診断名だけで交付される制度ではなく、次のような観点から生活・就労への支障の程度が判断されます。
- 食事摂取
- 清潔保持
- 金銭管理
- 危機管理
- 対人関係
- 就労状況
症状が改善して認定基準を満たさなくなった場合は、更新が認められない可能性があります。また、これまで2級だった方が症状の改善で3級に変更されるなど、障害等級が変更されるケースもあります
ご自身で「手帳を更新しない」ことを選んだ
障害者手帳の更新時に留意しておきたいのは、「ご自身の判断で手帳を更新しない」選択肢もあるという点です。例えば、障害者雇用枠ではたらいていた方の症状が回復し、一般雇用枠でチャレンジするなどの場合が考えられます。企業側がこうした意思を拒み、障害者手帳の更新を強制することはできません。
障害者手帳を更新できなかった場合の対処法

精神障害者保健福祉手帳を更新できなかった場合は、次のようにケースごとに対処法が異なります。
- 手続きできなかった場合:自治体の窓口へ相談
- 更新が認められなかった場合:審査請求(不服申立て)
手続きできなかった場合:自治体の窓口へ相談
精神障害者保健福祉手帳の更新期限を過ぎてしまった場合は、できるだけ早く自治体の窓口で次の2点を整理しましょう。
- なぜ手続きできなかったかを説明する
- どのような手続きが必要かを確認する
障害者手帳の有効期限が切れたあとの取り扱いは、自治体や個別の事情によって次の2つのパターンが考えられます。
- 更新申請が特別に認められる
- 手帳の再申請が必要になる
なお、自治体独自の福祉サービスなどに影響が出る可能性もあるので、継続利用の可否についても確認しておくと安心です。
更新が認められなかった場合:審査請求(不服申立て)
精神障害者保健福祉手帳の更新申請が却下された場合や、等級が下がって納得できないなどの場合は、「審査請求(不服申立て)」ができる可能性があります。審査請求とは、行政機関の決定に対して次のような不服がある場合に、その判断の見直しを求める手続きです。
- 診断書の内容が実態を十分に反映できていない
- 生活や就労で困難があるにも関わらず更新できなかった
ただし、以下のように注意点も多いため、まずは自治体の窓口や主治医、相談支援専門員などへ相談してみましょう。
- 審査請求には期限が設けられている
- 必要な書類や手続きも定められている
- 判定結果が覆る可能性は高くはない
障害者手帳を更新できなかった方が再申請する流れ
障害者手帳の再申請が必要になった場合でも、一定の条件を満たしていれば、次の手順で手続きすれば再取得できる可能性があります。
- ステップ1:必要書類を準備する
- ステップ2:主治医に診断書を依頼する
- ステップ3:自治体の窓口へ申請する
- ステップ4:審査後に手帳が交付される
ステップ1:必要書類を準備する
必要書類は自治体によって多少異なる場合がありますが、一般的には以下のようなものが求められます。
- 障害者手帳申請書
- 医師の診断書
- 顔写真
- 本人確認書類
必要書類に不足があると手帳の再取得が遅れてしまうため、事前に自治体の窓口へ確認しておくと安心です。
ステップ2:主治医に診断書を依頼する
精神障害者保健福祉手帳の審査では、病名だけでなく生活・就労への影響も重視されます。そのため、次のような点を診察時に伝えて、診断書に分かりやすく記載してもらうことが大切です。
- 普段の生活で困っていること
- はたらくうえでの課題
- 職場で受けている合理的配慮
- 具体的に支援が必要な場面
ステップ3:自治体の窓口へ申請する
必要書類を準備したあとは、自治体の窓口で申請手続きを行い、それから手帳交付の可否や等級について審査が行われます。なお、症状が重いなどの理由で窓口に行くことが難しい場合は、次のような方法を利用できる場合があります。
- 代理人による申請
- 郵送による申請
また、オンラインの事前手続きで窓口での申請書記載を一部簡略化できる自治体もあるため、詳細は自治体のWebサイトなどで確認してみましょう。
ステップ4:審査後に手帳が交付される
審査の結果「認定基準を満たしている」と判断されれば、精神障害者保健福祉手帳が再交付されます。申請から交付までの期間は自治体によって異なりますが、一般的には1~3ヶ月程度が目安です。なお、現在の症状や生活状況に基づいて審査が行われるため、以前と同じ障害等級になるとは限りません。
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精神障害者保健福祉手帳には2年間の有効期限があるため、期限内に更新手続きを行う必要があります。何らかの事情で更新できなかった場合は、障害福祉サービスの利用に影響が出ることがあるため、早めに自治体の窓口に相談しましょう。
精神疾患や発達障害のある方は、障害者手帳の更新以外にも、障害そのもののつらさや日常・仕事での課題に悩むことが多いです。そんなとき「相談できる場所や仲間」が身近にあれば、解決のためのヒントや安心感が得やすくなります。
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戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員