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精神障害者保健福祉手帳3級に落ちたら?申請が不承認になる理由と対処法 

公開日:

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患や発達障害で生活・就労に制限がある方が対象です。しかし、医師の診断を受けている方でも審査で不承認となるケースがあり、原因が分からず不安になることもあるでしょう。 

認定基準を整理し、提出書類の内容を見直すことで、精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性が高まります。本記事では、精神障害者保健福祉手帳3級の審査に落ちる理由や認定基準、今後の対処法などについて詳しく解説します。 

​精神障害者保健福祉手帳の審査に落ちる主な理由

精神障害者保健福祉手帳3級の審査に落ちてしまった場合、次のような理由が考えられます。 

  • 診断書の内容が認定基準を満たしていない 
  • 初診日から6ヶ月以上が経過していない 
  • 生活や就労への支障が基準に達していない 
  • 提出書類に不備があった 

診断書の内容が認定基準を満たしていない 

精神障害者保健福祉手帳の審査では、主治医が作成する診断書の内容が、厚生労働省の定める認定基準を満たしている必要があります。「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」によると、精神障害者保健福祉手帳の総合的な認定基準は次のとおりです。

​​​精神障害があって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、制限を加えることを必要とする程度のもの

しかし、実際の困りごとが診断書に反映されていない場合、障害の程度が軽く評価されてしまうことがあります。代表的な事例は以下のとおりです。 

  • 生活や就労の困難が詳細に記載されていない 
  • 支援の必要性が十分に伝わっていない 
  • 症状が安定しているように記載されている 

初診日から6ヶ月以上が経過していない

精神障害者保健福祉手帳を申請するためには、精神疾患や発達障害で初めて医療機関を受診した「初診日」から6ヶ月以上が経過している必要があります。その期間より早く精神障害者保健福祉手帳を申請した場合、障害や症状の重さが条件を満たしていても、審査に落ちてしまうので注意が必要です​​。​​なお、その精神疾患について別の病院で治療したことがある場合は、その病院での初診日を記載することになる点に注意してください。​​

生活や就労への支障が基準に達していない 

精神障害者保健福祉手帳の審査では、診断名そのものよりも「生活や就労への影響の大きさ」が重視されます。例えば、精神疾患や発達障害の診断を受けていても、次のような「他者による特別な援助を必要としない状態」であれば、非該当と判断される可能性があります。 

  • ​​​食事や身の回りのことを問題なく行える​​​​​​ 
  • 金銭管理や服薬管理を自力で行える 
  • 安定して就労できている 
  • 対人関係に大きな支障がない 

精神障害者保健福祉手帳3級は比較的軽度の障害が対象ですが、それでも一定以上の生活や就労の制限が生じていることが条件です。 

提出書類に不備があった

次のような申請書類の不備による影響も考えられます。 

  • 記入漏れがある 
  • 添付書類が不足している 
  • 診断書の有効期限が切れている 
  • 必要な押印や署名がない 

そのような場合は追加提出を求められることが一般的ですが、自治体や状況によっては申請を却下されてしまうケースもあります。 

精神障害者保健福祉手帳に落ちた場合の対処法

精神障害者保健福祉手帳の審査に落ちた場合は、次の対処法を実践したうえで、再申請の手続きを行いましょう。 

  • 症状や困りごとを改めて整理する 
  • 主治医に相談して診断書を見直してもらう 
  • 障害厚生年金3級の受給を検討してみる 
  • 異議申し立て(審査請求)を試してみる 

症状や困りごとを改めて整理する

精神障害者保健福祉手帳3級の審査では、以下のように「障害が生活や就労に影響を与えているか」という点が重視されます。 

  • 家事や身の回りのことで支援が必要 
  • 服薬管理が難しい 
  • 対人関係に困難がある 
  • 配慮なしでは仕事の継続が難しい 
  • 頻繁に欠勤や休職を繰り返している 

次のような具体的なエピソードをまとめておくことで、障害でどんな困りごとが生じているかについて、審査担当者に理解されやすくなるでしょう。

  • 気分の落ち込みが激しく朝起きることも難しい 
  • 通勤で電車に乗るときにパニック発作が出てしまう 
  • 抽象的な指示が理解できず業務に支障がある 

主治医に相談して診断書を見直してもらう 

次のポイントを主治医に共有して、生活や就労の困りごとを診断書に分かりやすく記載してもらうことで、精神障害者保健福祉手帳3級の審査に受かりやすくなります。 

  • 症状による具体的な支障 
  • 日常生活での課題 
  • はたらくうえでの困りごと 
  • 職場で受けている合理的配慮 
  • 家族や支援者から受けているサポート 

障害厚生年金3級の受給を検討してみる

精神障害者保健福祉手帳3級の審査に落ちた場合は、障害厚生年金3級の受給を検討するのもひとつの方法です。重要なポイントは次の2つです。 

  • 障害者手帳の所持は障害年金の条件ではない 
  • 障害厚生年金3級の受給者は、精神障害者保健福祉手帳3級を取得可能 

ただし、障害厚生年金3級の受給にはさまざまな条件があるため、社会保険労務士などの専門家に確認してみることをおすすめします。障害年金については、次の記事で詳しく解説しています。 

異議申し立て(審査請求)を試してみる 

精神障害者保健福祉手帳の不承認通知を受け取ってから3ヶ月以内であれば、行政不服申立法に基づき、異議申し立て(審査請求)という手続きを試すことも可能です。ただし、異議申し立てが認められるケースは少ないため、主治医や支援員に相談のうえ、基本的には再申請を優先して行うほうが良いでしょう。 

精神障害者保健福祉手帳に落ちた方も利用できる支援制度 

精神障害者保健福祉手帳の審査に落ちた場合でも、次のような支援制度を利用できる可能性があるため、ぜひ検討してみてください。

  • 自立支援医療(精神通院医療) 
  • ハローワークの障害者に関する窓口 
  • 「地域障害者職業センター」や「障害者就業・生活支援センター」 
  • 就労移行支援事業所 
  • ピアサポートやオンラインコミュニティ 

自立支援医療(精神通院医療) 

自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担を軽減する制度です。健康保険を利用した場合の自己負担割合は通常3割ですが、自立支援医療を利用すると原則1割まで軽減されます。次のような幅広い精神疾患・発達障害が対象となっているため、経済的な負担軽減に役立つでしょう。

  • うつ病 
  • 双極性障害 
  • 統合失調症 
  • 強迫性障害 
  • 発達障害 
  • ​​不安障​​​​害​​​ 
  • ​​​​器質性精神障害(てんかんや高次脳機能障害など)​​​ 

ハローワークの障害者に関する窓口

ハローワークの障害者に関する窓口」は、障害のある方の就職や職場定着を専門的に支援する相談窓口です。各都道府県に設置されており、精神障害者保健福祉手帳をお持ちでない方も、次のようなサポートが受けられます。 

  • 職業相談や求人紹介 
  • 応募書類の作成や面接対策のサポート 
  • 就職後の職場定着支援 

「地域障害者職業センター」や「障害者就業・生活支援センター」 

地域障害者職業センター障害者就業・生活支援センターでは、はたらくための準備に関する次のような支援が受けられます。 

  • 適職に関する相談 
  • 職業準備支援 
  • 職場定着支援 
  • 障害者雇用に関する相談 

ハローワークと連携しているため、就職活動を行う前に就労準備を整えたい方は、こちらに相談してみると良いでしょう。 

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、障害があって一般企業への就職を目指す方を対象とした支援機関です。精神障害者保健福祉手帳がなくても、医師の診断書や意見書などがあれば利用でき、次のようなサポートが受けられます。 

  • パソコンスキルの訓練 
  • ビジネスマナーの習得 
  • 履歴書作成や面接対策 
  • 職場実習 
  • 就職後の定着支援

はたらくためのスキル習得から就職・定着支援まで、一貫したサポートが受けられるので、就労全般に不安がある方に向いています。 

ピアサポートやオンラインコミュニティ

精神疾患や発達障害のある方は、精神障害者保健福祉手帳の取得や就労の悩みはもちろん、その根底にさまざまな生きづらさや孤独感を抱えがちです。「ピアサポート」は、同じ悩みを共有している仲間同士が互いに支え合う活動を指し、障害や疾患で悩んでいる方の​​拠り所​​​​として注目されています。

近年では、障害のある方を対象としたオンラインのピアサポートやコミュニティが増えており、場所を選ばず気軽に参加しやすくなっています。ピアサポートやオンラインコミュニティの詳細は、次の記事をご参照ください。

神障害者保健福祉手帳の審査に関するよくある質問

精神障害者保健福祉手帳3級の審査に落ちた方の「よくある質問」をまとめました。 

  • 精神障害者保健福祉手帳3級に落ちたら再申請できますか? 
  • 精神障害者保健福祉手帳3級に該当する人の具体例は? 

精神障害者保健福祉手帳3級に落ちたら再申請できますか? 

精神障害者保健福祉手帳の審査に落ちた場合でも、再申請を行うことは可能です。再申請の手順は基本的に初回申請と同じですが、審査に落ちるリスクを減らすために、主治医や自治体の窓口に相談したうえで申請手続きを進めましょう。精神障害者保健福祉手帳の取得手順は、こちらの記事で詳しく解説しています。 

精神障害者保健福祉手帳3級に該当する人の具体例は?

厚生労働省の「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」では、次のような精神疾患の状態に当てはまる場合、精神障害者保健福祉手帳3級に該当するとされています。 

統合失調症人格変化の程度は著しくはないが、思考障害や妄想・幻覚などの異常体験がある 
​気分障害(うつ病・双極性障害など) ​気分・意欲・行動や思考の障害などの著しい症状は出ないが、頻繁に繰り返したり持続したりする​ 

また、能​​力障害の状態として​​8つのケースが想定されており、その代表例として次のものが挙げられます。

  • 調和のとれた食生活や金銭管理、通院・服薬はおおむねできるが、なお援助が必要 
  • 家族や知人等との意思伝達や協調的な対人関係づくりは、十分とはいえず不安定である 
  • 社会情勢や趣味に関心はあり、社会的活動にも参加するが、十分とはいえず援助が必要 

障害に関する悩みを抱えている方へ

精神障害者保健福祉手帳の審査に落ちた場合、提出書類に不備がある可能性が考えられます。特に診断書の内容が重要なため、主治医に相談して、症状や困りごとが伝わりやすい診断書を作成してもらいましょう。また、障害者向けの支援制度には障害者手帳なしで利用できるものもあるため、必要に応じて活用してみてください。 

特にピアサポートやオンラインコミュニティは、生活や就労で生じるさまざまな悩みを共有できる「よりどころ」になります。障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」は、障害者手帳の有無を問わず、あなたと同じ境遇にある方と交流できる場所です。支え合える仲間と出会うために、この機会にコミュニティに登録してみませんか。 

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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