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自分らしい働き方を見つけるためのコラム

障害者雇用ではたらいていて、辛いと感じていませんか。また、これから障害者雇用ではたらくことを検討しているものの、辛い境遇に合ったり、不当な扱いを受けたりするのではないかと不安に感じている方もいるでしょう。
この記事では、障害者雇用によくある悩みやトラブルと、その背景をまとめました。障害者雇用における辛さの原因を踏まえた解決策や相談窓口を紹介します。
障害者雇用でよくあるトラブル事例
まず、障害者雇用ではたらくにあたって直面しやすいトラブルと、その背景にある悩みを、実際の事例とともに見ていきましょう。
職場での人間関係やコミュニケーションに関する悩み
障害者雇用に多い悩みは「職場での人間関係・コミュニケーション」関連の困りごとです。実際に、障害者雇用ではたらいている方から、次のような悩みが寄せられています。
- 上司や同僚、後輩と話しづらい
- 悩みがあっても相談しにくい
- 過剰な配慮により孤独感を抱えている
- 職場のルールや暗黙の了解がうまく汲み取れず、周囲から浮いてしまう
過去に心ない言葉を浴びせられて深く傷ついた経験から、仕事やはたらくことに対し、ひときわ強い緊張感や不安感を覚えるという方も少なくありません
そのほか、障害者雇用枠では、自分以外にも障害者が在籍していることもあります。その場合、一緒にはたらく障害者一人ひとりの特性の理解と、個々に合わせた合理的配慮が求められます。そのため、職場全体の理解と、適切な管理体制が確立されていない職場では、思わぬすれ違いが生じ、ストレスを感じることもあるでしょう。
職場の人間関係・コミュニケーションに関する悩みの解決には、相互理解が欠かせません。障害や個々の特性に対する社内での理解促進と、問題発生時の対応方法がクリアになっていないと、結果として負担が増えてしまうことにもつながりかねません
給料・待遇面に関する悩み
障害者雇用は、給与水準が比較的低い傾向にあります。なお、2023年度の障害者の平均賃金は以下の通りでした。
- 身体障害者:23万5,000円
- 知的障害者:13万7,000円
- 精神障害者:14万9,000円
- 発達障害者:13万円
(出典:令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します)
この給与額は、一人暮らしで生活できる最低限の水準です。同年の一般給与所得者の平均給与・手当(賞与を除く)は約388万円、月収換算で約32万でした(出典:令 和 5 年 分 民間給与実態統計調査)。
いずれの障害種別でも、前年度比で増加傾向にあるものの、一般的な水準を下回ることが分かります。
実際に、フルタイムではたらき、勤続年数も数年になるにもかかわらず、一般枠の新入社員より給料が低いという声もあり、給与・待遇面の不安や悩みを抱える方もいるようですこれは主に、正社員からスタートする方が少ないほか、時短勤務やアルバイト・パートタイマーなども多いこと、定型業務が中心でスキルアップの機会に恵まれにくいことなどに起因すると考えられます。
一方で、次のような工夫により、障害者雇用の処遇改善を図る方もいます。
- 正社員登用制度のある会社で試験を受ける
- リスキリングで待遇アップを図る
- 副業収入で給与所得を補填する
はたらいても生活が安定しなかったり、将来に不安があったりするようでは、辛いと感じるのも無理はありません。とはいえ、上記のように、勤務先の選び方や働き方、スキルの磨き方などによって、給与や待遇の改善を目指せる可能性は十分にあります。
業務内容・働き方に関する悩み
障害者雇用では、理解のしやすさやはたらきやすさを高める配慮として、ルーチンワークや軽作業が割り当てられることも多いです。そのため「仕事内容が単調・簡単で暇過ぎる」「経験・スキルを活かせる仕事を任せてもらえない」といった悩みを抱えている方もいます。その結果「やりがいを感じられない」「スキルアップの機会が得られない」というストレスにつながっているのです。
逆に、健常者並みの業務内容や高い成果を求められて困惑したり、体力的・能力的に厳しいと感じていたりする方もいます。また、高いパフォーマンスを求められた結果、残業が発生してしまうなど、合理的配慮の内容や程度にまで影響するケースもあるようです。
合理的配慮に関する悩み
一人ひとりの状態や特性について、職場に正しく共有されていないと、適切な配慮がなされず、はたらきづらさにつながってしまいがちです。また、当初は適切に提供されていても、年を経るごとに形骸化したり、管理者の異動に伴い配慮が薄れてしまうケースもあります。
このように、不適切な合理的配慮になってしまう要因は、障害者雇用に関する職場側の知識・理解不足が大きいと考えられます。また、合理的配慮は本来、障害者本人の体調・状況の変化に応じて見直されるべきものですが、話し合いや相談の機会が十分に設けられていない、もしくは気軽に話しにくい雰囲気があることで、体制の改善を妨げているケースもあるようです。
合理的配慮は、国を挙げて広く周知されており、一般企業においても「基本的な申出機会の周知」など最低限の手続きは浸透する一方で、職場で支障となっている事情を確認するための面談、外部機関への相談、本人の希望に応じた支援者同席などの運用の厚みには、まだまだ課題があります。その結果、本当に必要な配慮やサポートが受けられないことで、はたらきづらさや体調・モチベーションの悪化につながってしまうのです。
障害への理解不足に関する悩み
障害者雇用ではたらいている方からは、障害理解に関する次のような悩みがよく寄せられます。
- 配慮やサポートを受けることに引け目を感じたり、惨めに思えて肩身が狭い
- 障害があることや、その名称だけで偏見を持たれるのではないかと恐怖を感じている
- 合理的配慮や、体調不良・通院などによる休暇を取りたくても申し出にくい
「甘えている、特別扱いを求めている」といった周囲からの誤解や、「自分がもっと頑張れば周囲に迷惑をかけずに済む」という思いから、はたらきづらさが生じているのです。無理をした結果、体調を崩してしまう可能性もあります。
こうした悩みの裏にあるのは、障害者雇用制度や、障害そのものに関する情報・理解不足です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターの調査結果を見ても、企業が感じる課題として、「雇用した後」を支える力が不足しており、具体的には配置後の支援体制・業務設計・社内理解がボトルネックになっていることが分かります。
障害のある方が遠慮や引け目に感じてしまうのは、企業が課題認識している「職場において必要な環境整備を行うノウハウの不足」「配属部署や管理職への研修の実施が不十分」などを背景に、相互理解が進んでいないことが主因です。
また、悩みを一人で抱えていると、マイナス思考に陥りがちなので、気軽に相談できる相手を見つけることも大切だといえます。
障害者雇用ではたらくのが辛いと感じたら?自分でできる対処法

ここでは、障害者雇用でのはたらきやすさを高めたいとき、もしくは、はたらいていて辛いと感じた場合に実践してほしい4つのアクションを紹介します。
自分の障害や必要な配慮事項について事前に伝えておく
障害者雇用ではたらく場合、障害や特性に関する情報を職場に事前共有しておくことをおすすめします。障害や障害者雇用、合理的配慮の理解度は、企業・職場によって異なるものです。事前に、自分にはどのような障害・特性があり、どのようなことが難しいのかを必要な範囲で伝えておくことで、適切な役割分担と、合理的配慮につながり、ミスマッチが防げます。また、自分にできることや、得意なことを共有しておけば、経験・スキルを活かして活躍できる可能性が高まるでしょう。
伝え方のポイントは、できないことを伝えるだけでなく、以下のように「どうすればより良くはたらけるか」を言語化することです。
- 口頭での指示だけだと聞き逃しや情報整理に時間がかかるので、マニュアルやテキストベースで伝えてほしい
- スムーズな業務遂行のため、補助ツールの活用を認めてほしい
- 通院治療のため、月◯回程度の定期的な休暇取得、もしくは勤務時間を調整したい
- 障害特性により眩しい環境で長時間過ごすことが難しいため、デスクの配置を調整してほしい など
なお、職場に配慮事項を伝えるベストなタイミングは「採用面接」です。伝えそびれや、症状の進行などによる配慮事項の調整の必要があるときは、上司や人事担当者へすみやかに相談しましょう。
障害がある方が活用できる暮らしや就労の支援制度を知る
現在、国内ではさまざまな障害者支援が講じられていますが、その多くが自己、もしくは会社からの申請を前提としています。そのため、まずはどのような支援制度があるのかを知ることが大切です。例えば、主な障害者支援として、次のような制度が挙げられます。
【障害者の暮らしを支える制度】
| 自立支援医療 | 特定の医療を受ける方の医療費の自己負担額を軽減する制度 |
| 障害者控除 | 確定申告で、障害手帳を持っている方の所得税・住民税の負担を軽減する制度 |
| 障害年金 | 病気・障害によって仕事や生活に制限のある方へ、一定額の年金を支給する制度 |
| 障害者グループホーム | 障害や病気のある方が、日常生活のサポートを受けながら共同生活を送る自立支援・福祉サービス |
| 生活保護 | 収入が一定以下の方へ、生活費・医療費などの支援を提供する制度 |
上記のほか、障害者手帳を取得している方は、公共交通機関(JRなど)や公共施設、NHK受信料などの減免が受けられます。さらに、携帯電話料金をはじめ、障害者のための割引制度を独自に設けているサービスもあります。
【障害者の安定就労をサポートする機関・制度】
| 障害者就業・生活支援センター (なかぽつ) | 関係機関や企業と連携しながら、障害のある方の就職・転職活動の支援、職場実習、定着支援や、生活改善・健康・金銭管理に関する指導・助言を行う支援機関 |
| 障害者就労支援センター | 障害がある方の仕事探しや就職・転職活動、職業訓練を中心にサポートする支援機関 ※市区町村によって名称が異なる場合があります |
| 障害者トライアル雇用 | 障害のある方が一定期間トライアル雇用としてはたらき、適性や職場との相性をチェックできる制度 |
| ジョブコーチ支援 | 一定期間、専門の支援員を職場に派遣し、業務の習得やコミュニケーションをサポートする制度 |
| 就労定着支援 | 障害者を対象とした各種就労支援を受けて就職し、勤続6ヶ月以上の方へ、就労に関する相談や、企業・医療機関との連絡・調整を通し、長期的な職場定着のサポートを提供する制度 |
上記の制度は、それぞれ利用条件や利用できる期間が異なります。活用を検討している場合は、自治体の障害福祉窓口やハローワークの障害者窓口、勤務先の上司・人事担当者などへ事前に相談してください。
共に支え合える仲間を見つける
障害のある方がはたらくにあたって、心の支えとなるのが「仲間」の存在です。身近な人や同じ職場の人には話しづらいときは「ピアサポート」を活用し、自分と同じように障害があり、似たような境遇にある仲間を探してみてはいかがでしょうか。
ビアサポートの中でも、年齢や居住地、障害種別などを気にすることなく、誰もが気軽に参加しやすいサービスとして注目されているのが「オンラインコミュニティ」です。匿名・無料で利用できるコミュニティも多く、情報共有や悩みを相談する中で、自分だけでは思いつかなかったような、はたらきやすさを実現するヒントが見つかるかもしれません。また、気持ちを誰かに話すだけでも心が軽くなり、自分は一人ではないと感じられるはずです。
障害があり、仕事や働き方に悩んでいるなら、障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」への登録をご検討ください。同じ境遇の仲間とつながり、自分らしいキャリアを共に考え、学び、実践していきましょう。
環境を変える
障害のある方がはたらきやすさを実現するには、相互の障害理解を深めることが重要であり、自分の努力だけでは十分な理解・配慮につながらないこともあります。職場に相談しても改善が見られないときは、環境を変えてみるのも一つの選択肢です。
はたらきやすい企業・仕事を見つけるには「自己分析」と「企業研究」がポイントとなります。次の例を参考に、自分にとってはたらきやすいかどうかを検討してみてください。
- 障害者雇用や合理的配慮の実績が豊富で、サポート体制が整っているか
- 業務内容や指示、評価基準が明確に示されているか
- 在宅勤務や時短勤務など柔軟な働き方ができるか
- 就職後の定着率が高いか
- スキルアップ支援やジョブチェンジ、正社員登用制度など、キャリアパスが明確に示されているか
そのほか、障害者の雇用や安定就労に関して、国から優良だと認められた中小企業を認定する制度「もにす認定」も、はたらきやすさを測る指標の一つです。
とはいえ、企業研究を自力だけで進め、自分に合った仕事を見極めるのは簡単なことではありません。悩みや困りごとがあるときは、一人で抱えるのではなく、ハローワークの障害者窓口や障害者向け求人サイト、転職・就職エージェントといった就労支援サービスを活用することで、効率的に情報収集できます。
はたらくことが辛いならまず誰かに相談を

障害者雇用ではたらく中で「十分な配慮やサポートが得られない」「上司や周囲の人と合わない」「給料が低くて生活が苦しい」といった困りごとが生じることもあるかもしれません。そんなときは、一人で悩みを抱えるのではなく、誰かに相談してください。支援機関・サービスやキャリアアドバイザーに相談すれば、もっと自分らしくはたらくためのヒントが得られます。
障害者雇用や仕事の悩みについて、職場や身近な人には話しづらいときは、障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」で相談してみませんか。同じような境遇にある仲間の体験談やアドバイスを聞く中で、はたらきづらさを解消する選択肢が見えてくるはずです。現在の待遇を改善するための情報も提供しています。ぜひお気軽にご登録ください。
戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員