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障害者雇用の給料は安い?実態と合理的な選択肢となる理由 

公開日:

​​障害者雇用枠ではたらくかどうかを検討するにあたって、得られる給料が一般枠より低いと聞き、気になっている方もいるのではないでしょうか。給料が低いと「生活できないのでは…」と不安になってしまいますよね。​

​​この記事では、障害者雇用枠ではたらいた場合、いくらぐらいの給料が稼げるのか、なぜ障害者雇用枠の仕事の給料は安いといわれているのかを解説します。

障害者雇用枠ではたらいて得られる給料の目安

​​厚生労働省の調査結果によると、障害者雇用における2023年5月現在の平均賃金(月収)は以下のとおりです。​ 

  • ​​身体障害者:月23万5,000円​ 
  • ​​知的障害者:月13万7,000円​ 
  • ​​精神障害者:月14万9,000円​ 
  • ​​発達障害者:月13万円​ 

​​(出典:​令和5年度 障害者雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省​)​ 

​​なお、同年の一般給与所得者の平均給与・手当は約388万円(賞与を除く)で、月収に換算すると約32万円となることを踏まえると、障害者雇用枠の給料は一般的な水準より低いことが分かります(​​​​出典​​:​令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-|国税庁長官官房企画課​)。​ 

​​とはいえ、いずれの障害区分でも、前回調査があった2018年時点の水準より給料が上がっています。障害のある方の自立促進と障害者雇用の推進が国をあげて取り組まれている中で、​​待遇の改善も徐々に進められている​​のです。​ 

「障害者雇用枠は給料が安い」って本当?給与水準の低さの背景

​​基本的に、​​障害者雇用枠であることだけを理由に、給料が低く設定されることはありません​​。一部、​​​​特例​​として、障害があることで労働能力が著しく低いと判断され、労働局長の許可を得た場合に限り、最低賃金が低く調整されることはあります。しかし、一般的には、一般枠ではたらく給料より安くなることが多いのは、主に次のような理由です。​ 

正社員が少ない 

​​前出の障害者雇用実態調査によると、正社員としてはたらく方の割合は以下の通りです。​ 

  • ​​身体障害者:59.3%​ 
  • ​​知的障害者:20.3%​ 
  • ​​精神障害者:32.7%​ 
  • ​​発達障害者:36.6%​ 

​​障害種別によって​​​​​​格​​差​​があり、身体障害がある方の過半数が正社員ではたらいている一方で、知的障害がある方の約8割、精神障害(発達障害含む)がある方の約6〜7割が、非正規雇用ではたらいています。つまり、障害者全体でみると、​​約6割の方が非正規社員やパート・アルバイトではたらいている​​のです。​

​​非正規雇用だと、昇給があまり見込めず、結果的に正社員より給料が低くなる傾向にあります。こうした給与水準の低い働き方を選ぶ方も多いことが、障害者雇用の給与水準にも影響を及ぼしていると考えられます。​

短時間勤務も多い 

​​同調査では、障害者雇用枠のうち、週30時間以上はたらいている割合が以下の通りだということも分かりました。​ 

  • ​​身体障害者:75.1%​ 
  • ​​知的障害者:64.2%​ 
  • ​​精神障害者:56.2%​ 
  • ​​発達障害者:60.7%​ 

​​つまり、​​障害者雇用全体の約4割が30時間より短い勤務時間ではたらいている​​ということです。​ 

​​労働時間が短いと、その分、給料も安くなります。障害者雇用枠では、勤務時間を柔軟に調整できる働き方を選ぶ方も多いという事実が、給与水準にも反映されているようです。​ 

定型業務が多く評価・スキルアップが難しい

​​障害者雇用枠の仕事は、データ入力や書類・モノの仕分け、生産ラインでの軽作業、清掃といった、定型のルーチンワークが割り当てられることも多いです。こうした定型業務は、​​イレギュラーな対応が少なくはたらきやすい反面、自分の頑張りが評価につながりにくい​​傾向にあります。また、同じ作業の繰り返しだと、自分でスキルアップの機会にあまり恵まれないことも多いでしょう。​ 

​​結果的に、給与アップや、もっと高い給料が稼げる仕事への転職が実現しにくいという実態があります。​ 

障害のある方が「給料の高さ」より「障害者雇用枠」を選ぶ理由

​​障害のある方は、なぜ一般枠より給与水準の低い障害者雇用枠を選ぶのでしょうか。それは、障害者雇用枠の仕事が、障害のある方にとって​​長く安定してはたらきやすい仕組み​​になっているからです。以下では、障害のある方が障害者雇用枠ではたらくことを選ぶ3つの理由を見ていきましょう。​ 

個々の特性に応じた合理的配慮を受けられる 

​​障害者雇用枠ではたらく従業員は、障害があることを前提としています。そのため、一人ひとりの特性に応じ、配置や業務量、勤務・休憩時間、福利厚生などが調整されます。これを​​「合理的配慮」​​といい、障害の有無にかかわらず、すべての方が自分らしくはたらけるようになるための措置です。​

​​一般枠でも合理的配慮は得られるものの、企業に提供の義務が課せられているのはあくまでも過重な負担にならない範囲であり、必ずしも希望する配慮が受けられるとは限りません。一方、障害者雇用枠なら、障害のある方の受け入れ態勢が整えられているケースも多いです。さらに、各種就労支援機関では「定着支援」も提供されており、必要に応じて活用することで、希望する配慮事項が実現しやすくなるでしょう。​

​​また、障害のある方を対象とする法定外福利厚生制度を設けている企業に転職・就職すれば、よりはたらきやすい労働環境と、生活の負担を軽くする手段が得られる可能性が高まります。​

通院やセルフケアの時間を確保しやすい

​​企業の方針にもよりますが、障害者雇用枠では、合理的配慮の一環として、時短勤務やフレックスタイムをはじめ、​​フルタイムではない勤務時間​​が選択できることも多い傾向にあります。また、フルタイムでも、​​通院や体調などの都合に応じて取得できる休暇制度​​が設けられていたり、​​従業員の希望に合わせて勤務時間を柔軟に調整​​してもらえたりすることもあります。​

​​障害のある方は、定期的な通院治療や、時間的・体力的な配慮が必要な方も多いため、その時間を確保できることは大きなメリットです。無理なくはたらける環境に身を置くことで、健康維持や、体調・メンタル面の管理もしやすくなるでしょう。​

​​2024年4月からは、障害者雇用率の算定基準が改訂され、週の所定労働時間が20時間未満の方も条件付きで算定対象に加えられるようになりました。したがって今後は、​​障害者雇用枠の短時間労働​​が広がっていくことが想定されます。障害がある方の働き方の選択肢が増え、就労の可能性が今後ますます高まっていくでしょう。​

障害のある仲間と一緒にはたらく安心感が得られる 

​​障害者雇用枠では、自分と同じような境遇の方たちと一緒にはたらける可能性があります。障害のある方同士でチームを組んではたらくこともあり、​​気持ちを分かり合ったり、助け合ったりできる環境​​が整っているので、安心感が増します。​

​​一方、一般枠の仕事は、同じ職場に障害者が在籍しているとは限らず、話しづらさや、孤独を感じることもあるかもしれません。こうした理由から「分かり合える仲間と一緒にはたらきたい」「はじめての就労で不安感が強い」という場合の選択肢として、障害者雇用を希望する方もいるようです。​

障害者雇用と給料にまつわる誤解と給与アップのポイント

​​障害者雇用と給料にまつわる疑問の中には、誤解に基づくものも少なくありません。以下では、よくある2つの質問と、給与アップを図る方法についてまとめました。​ 

障害者雇用枠の仕事の給料では生活できない?

​​一般的に、毎月かかる生活費の目安は、​​​単身世帯で月20万円前後、二人以上の世帯だと30万円以上​​​​​​​単身世帯で月15万円前後、扶養家族がいる場合は20万円以上​​だといわれています。障害者雇用枠の仕事の給与水準を踏まえると「生活できないのではないか」と不安に思う方もいるでしょう。​

​​しかし、障害者雇用ではたらいているからといって、必ずしも生活できないとは限りません。なぜなら、障害者雇用ではたらく(障害者手帳を持ってがいある方の)場合、次のような経済支援が提供され、​​はたらいて得た給料と組み合わせて暮らしを設計​​できるからです。​

  • ​​各種税金の障害者控除​ 
  • ​​障害年金​ 
  • ​​生活保護​ 

​​上記のほか、自治体によっては、独自の障害・福祉関連の手当や、障害者手帳を提示することで受けられるサービスが展開されていることもあるので、お住まいの地域の障害福祉の窓口に問い合わせてみてください。​

​​また、給料そのものを増やしたいときの選択肢として、次のような方法が挙げられます。​ 

  • ​​今より給料が高い仕事や正社員にキャリアアップする​ 
  • ​​非正規社員として経験・スキルを積み、正社員登用制度のある​​会社​​に転職する​ 
  • ​​自分で勉強して評価に関連する資格を取得し、資格手当による給料アップを目指す​ 
  • ​​福利厚生の充実した企業に転職する​ 

​​実際に、障害者雇用ではたらきながら、給料・キャリアアップに成功している方もたくさんいます。自分らしいキャリア形成のヒントが得られることもあるため、​​当事者の体験談​​を聞いてみるのもおすすめです。​ 

一般枠から障害者雇用枠に転職すると給料が下がる? 

​​障害者雇用枠の仕事は、一般枠より給料が低い傾向にあるのは事実です。とはいえ、一般枠から障害者雇用枠の仕事に転向すると、必ずしも給料が下がるとは限りません。​

​​例えば、近年は​​障害のある従業員の戦力化​​を推進する企業も増えており、配慮を得ながら、バリバリはたらく道も開けています。それに伴い、ITやAI・ビッグデータなどの高度なスキルを習得できる就労移行支援も登場し、​​高収入が目指せる求人をコンスタントに扱う事業所​​も出てき​​ました。必要な配慮を得ながら、一般的な水準以上の給料を得たいと考えているなら、高度な分野・領域が学べる就労移行支援事業所を経て就職するのも一つの選択肢です。​

​​また、転職に成功した当事者の話を聞けば、自分にあったキャリアの形成や、転職プロセスを考えるヒントが得られるかもしれないので、​​オンラインコミュニティ​​などでぜひ仲間と交流してみてください。​

障害がある方の就労・生活の安定には給料の高さより「はたらきやすさ」が重要

​​障害者雇用枠の仕事は、給与水準だけ見ると、高待遇ではないように思えるかもしれません。しかし、障害のある方がはたらくにあたって重要なのは、給与の高さよりも​​「はたらきやすいかどうか」​​です。仮に給料が高くても、身体的・精神的・時間的な負担が大き過ぎる仕事は長続きしません。長期的にはたらき続け、安定した収入を維持するためには、必要な配慮を得ながら、自分らしくはたらける仕事が何かを考えてみることが大切です。​

​​自分に合った働き方がよく分からず悩んでいるときは、障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」で仲間に相談してみませんか。同じような境遇にある方や、似たような経験をしたことのある方から、悩みや不安を解決するヒントが得られるかもしれません。ぜひお気軽にご参加ください。​

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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