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細部が気になって作業が進まない… 「完璧主義」と誤解されやすい発達特性のはなし

30代 発達障害(ASD、ADHD)

細かいところまで手をかけているうちに、気づけば時間が足りなくなっている。周りからは「こだわりすぎ」「完璧主義」と見られてしまうけれど、本人は完璧を目指しているわけではない――。そんなすれ違いが起きる理由を、発達特性の視点からひもときます。

プロジェクトのレポート提出の前日、あゆみさんは山積みの資料に囲まれ、「あれもこれも…」とあせりながら作業している。上司が「資料はそれくらいにして、要点を1枚に簡単にまとめて」と声をかけても、あゆみさんは「うーん、でもここも関係するし」と資料から手を離せない。上司は「そんなにこだわらなくても…」とため息をつく。取引先から戻った上司が「報告書だしてくれる?」と頼むと、あゆみさんは長く連なった報告書を「こちらです」と差し出し、上司は「あゆみさん、細かすぎるんだよな…」と心の中でつぶやく。翌週のイベントの打ち合わせでも、あゆみさんは「○○についてはどうすればいいですか」「△△の場合はどうですか」「もし○○だったらどうなりますか」と質問を重ね、同僚から「まあ、その日になってみないと分からないこともあるから…完璧主義だなぁ」と言われてしまう。あゆみさんは「完璧主義なわけではないんだけど…。気になってしまうと切り替えられない…」と考え込む。細かな点が気になると考えを切り替えにくい特性によって、周囲から誤解されてしまう様子を描いている。
ワンポイントアドバイス

「細かすぎる」は強みにもなる。全体より細部が見えやすい特性との付き合い方

発達特性のある人の中には、物事の全体像や要点や概要を、直観的に把握することが難しい場合があります。そのため、何かを説明したり文章にまとめたりするときにはどうしても細かな「部分」に注意が向きます。そのため、気づけば調べ物や報告書の視点がどんどん枝葉におよび、その分、作業量も作業時間も増大してしまうわけです。

こうした認知の傾向は、「細部選好」と呼ばれますが、決して好んでいるわけではなく、「全体を要領よく把握することが苦手」だからこそ「細かな具象」に視点が奪われてしまうのです。効率重視の作業は、作業スピードの問題ではなく、要点を的確に早くつかめるかどうかが重要ですのでどうしても、「不要な作業をしているとか、細かすぎる」と評価されて裏目に出てしまいます。しかし一方で、細かな点を見落とさず、一つひとつマスを埋めるように思考を積み重ねられる力は、緻密さや正確さが求められる仕事において大きな強みになることもあります。

原作者 メンタルサポート&コンサル沖縄 代表

佐藤 恵美 

精神保健福祉士・公認心理師・キャリアコンサルタント・臨床発達心理士

北里大学院にて医科学修士取得。精神科病院や都内クリニック副院長を経て、 2020年「メンタルサポート&コンサル沖縄」を設立。企業・公的機関での労働者カウンセリングや職場研修のほか、 キャリアコンサルタント養成にも注力。日本産業精神保健学会理事。著書に『もし部下が発達障害だったら』、『部下の発達特性を活かすマネジメント』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』 (PHP研究所) など多数。 

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