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「10分早く起きれば」で解決しないのはなぜ? 朝の段取りと発達特性

30代 発達障害(ASD、ADHD)

頻繁に5分、10分の遅刻を繰り返す。周囲からはちょっとだけ早起きすればいいのに「怠惰な人」だと思われてしまう。

そんな経験ありませんか?

職場で上司があゆみさんに「あゆみさん、一昨日も数分遅刻したよね? 数分でも遅刻は遅刻だよ。社会人としてダメだから。10分早く起きれば解決することでしょ?」と厳しく注意し、あゆみさんは「あ、はい」とうつむく。デスクに戻ったあゆみさんは「またやってしまった」と落ち込む。それから2週間後、再び遅刻してしまったあゆみさんは「よく分からないけど、どうしても朝急げない…。急ごうとすると混乱する…」と戸惑い、上司も言葉が出ずにため息をつく。あゆみさんの朝は、起床し、朝食で卵の殻と格闘し、なんとか食べ、靴下が左右逆で混乱し、あわてて身支度をして家を出るも電車を逃し、結局遅刻してしまう――という具合に、時間を見ながら次々と行動を切り替えることがうまくいかず、いつもバタバタしてしまう様子が描かれている。
ワンポイントアドバイス

「気のゆるみ」と誤解される遅刻――特性を知って負担をへらすヒント

どうしても数分の遅れが続いてしまう。まわりからは「気がゆるんでいるのでは」と思われてしまうこともありますが、実際には、いくつかの発達特性が関係している場合があります。

たとえば、「実行機能」と呼ばれる力は、見通しを立てる、計画を立てる、段取りを考える、順番を調整する、といった一連の流れを支えるものです。この働きがうまくいかないと、朝の身支度のように、短い時間の中で複数のことを同時に進める場面で、難しさを感じやすくなります。また、人によっては時間の見積もりや時間の感覚がつかみにくく、「あとどれくらいで出発すればよいか」を実感としてとらえにくいこともあります。急ごうとすればするほど頭の中が混乱してしまい、かえってスムーズに進まなくなることもあります。

負担を減らす方法としては、たとえば、身支度の流れをあらかじめ決めておく(動線や順番、服装、朝食を固定する)、余裕を持った働き方(フレックスタイムや在宅勤務)を取り入れる、移動手段を見直す、といった方法が役立つことがあります。

原作者 メンタルサポート&コンサル沖縄 代表

佐藤 恵美 

精神保健福祉士・公認心理師・キャリアコンサルタント・臨床発達心理士

北里大学院にて医科学修士取得。精神科病院や都内クリニック副院長を経て、 2020年「メンタルサポート&コンサル沖縄」を設立。企業・公的機関での労働者カウンセリングや職場研修のほか、 キャリアコンサルタント養成にも注力。日本産業精神保健学会理事。著書に『もし部下が発達障害だったら』、『部下の発達特性を活かすマネジメント』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』 (PHP研究所) など多数。 

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