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障害者雇用の退職理由とは?よくある原因・長くはたらくための対処法

公開日:

「このまま続けるべきか悩んでいる」
「こんな理由で退職するのは甘えなのだろうか」
「もっと自分に合う働き方を知りたい」

障害者雇用ではたらいている方が、仕事内容・職場環境・人間関係などの理由から「退職したい」と考えるのは、決して珍しいことではありません。障害者雇用では、一人ひとりの障害特性に応じた配慮を受けながら就労できますが、残念ながらミスマッチが生じてしまうケースもあります。

障害者雇用でよくある退職理由を整理し、自分に合った対処法を考えることで、現職ではたらき続けられる可能性もありますし、今後の転職活動にも活かせます。本記事では、障害者雇用の転職理由について詳しく解説します。

障害者雇用の主な退職理由

障害者雇用の退職理由は障害の種類によって違いはありますが、「人間関係」や「労働条件」が特に多いです。厚生労働省が2015年に公表した「平成25年度障害者雇用実態調査結果」のデータによると、身体障害者の主な退職理由として以下のものが挙げられます。

賃金・労働条件に不満があった32.0%
職場の雰囲気・人間関係に問題があった29.4%
仕事内容のミスマッチがあった24.8%
会社の合理的配慮が不十分だった20.5%

精神障害者と発達障害者の場合、主な退職理由は次のとおりです。

職場の雰囲気・人間関係に問題があった33.8%
賃金・労働条件に不満があった29.7%
疲れやすく体力・意欲が続かなかった28.4%
仕事内容のミスマッチがあった28.4%

この章では、障害者雇用で特に多い5つの退職理由について解説します。

  • 賃金・労働条件に不満があった
  • 職場の雰囲気・人間関係に問題があった
  • 仕事内容のミスマッチがあった
  • 会社の合理的配慮が不適切だった
  • 疲れやすく体力・意欲が続かなかった

賃金・労働条件に不満があった

給与や勤務条件への不満から退職を決断する人は、全体の3割近い水準です。障害者雇用では、短時間勤務やルーチンワークが割り当てられることが多く、労働時間や業務内容に合わせて給与水準が低くなりやすい傾向があります。障害者雇用では負担軽減のための配慮が重視されることから、本人が「残業したい」「責任ある業務を担当したい」と希望していても、長時間勤務は難しいことが多いです。

職場の雰囲気・人間関係に問題があった

職場の雰囲気や人間関係などによる退職は、賃金・労働条件への不満と同じく約3割を占めています。障害者雇用で就労している場合でも、環境によっては次のような点がストレスになるケースがあります。

  • 職場の人の誤解や偏見が気になる
  • 上司とのコミュニケーションがうまく取れない
  • 困りごとを相談しづらい雰囲気がある

職場の人間関係は、はたらきやすさを大きく左右する要素なので、障害者雇用の退職理由につながりやすいです。

仕事内容のミスマッチがあった

自分の適性と仕事内容が合わないケースも多いです。「単純作業ばかりでスキルを活かせない」と将来のキャリアに不安を感じる方や、「求められるスキルが高い」と仕事に負担を感じる方もいます。仕事内容が本人の希望やスキルと一致していなければ、やりがいやモチベーションを維持できず退職理由となるでしょう。

会社の合理的配慮が不適切だった

障害者雇用では、障害特性に応じた「合理的配慮」を受けながらはたらきますが、実際には次のような課題が生じることもあります。

  • 面接ですり合わせた配慮が実際には行われなかった
  • 上司が異動してから配慮が形骸化してしまった
  • 配慮が過剰なためスキルを発揮しづらい

職場で受けられる配慮が適切でなければ、ストレスや居心地の悪さを感じやすくなり、はたらき続けることが難しくなります。

疲れやすく体力・意欲が続かなかった

障害特性や持病の影響により、体調が悪化して退職せざるを得ないケースもあります。例えば「業務量が想定以上に多い」「通勤が大きな負担になる」などの場合は、心身のストレスが蓄積しやすいです。「周囲に迷惑をかけたくない」という気持ちから無理を続け、症状が悪化してしまうこともあるでしょう。

また、発達障害のある方の場合は過集中や感覚過敏、周囲に合わせるための気遣いなどから疲れやすい傾向があります。そうした疲労やストレスが積み重なり、うつ病や適応障害などの「二次障害」になるケースも見られます。

障害者雇用で退職を決断する前に確認したいこと

障害者雇用ではたらく人の退職理由は、労働条件や人間関係などが多いですが、一時的な感情だけで退職を決断すると、あとで後悔してしまうかもしれません。現職で退職を決断する前に、まず次の点を考えてみましょう。

  • 合理的配慮の内容を相談できないか確認する
  • 異動で環境を変えることが可能か相談してみる
  • 退職後の経済状況も忘れずに確認しておく

合理的配慮の内容を相談できないか確認する

障害者雇用では、個々の障害特性に応じた合理的配慮を提供することが、企業に義務付けられています。しかし、企業側が「具体的にどんな配慮が必要か」を認識できていないと、適切な配慮を行うことが難しくなります。次のような困りごとと解決策を明確化することで、必要な配慮事項が見えてくるでしょう。

困りごと解決策
業務量が多い業務配分の調整や配置転換
環境が集中しづらいデスクの移動やテレワーク、イヤーマフの使用など
定時の通勤が厳しい時差出勤やテレワークなど

必要な配慮を現職で受けることができるか、上司や人事担当者などに相談してみてください。こうしてまとめた配慮事項は、仮に転職を決めた場合でも、応募書類や面接などで企業に伝えるために重要な要素となります。

異動で環境を変えることが可能か相談してみる

今の職場環境や人間関係が合わないからといって、必ずしも「退職しか選択肢がない」とは限りません。例えば、人間関係や職場環境の課題は、部署を異動することで改善される可能性があります。会社の制度や体制によって対応できる範囲は異なりますが、退職後に後悔しないためにも、まずは今の職場に相談してみることが大切です。

退職後の経済状況も忘れずに確認しておく

退職後の経済状況について確認しておくことも重要です。退職後は転職先が決まるまで収入がなくなるため、経済的な不安がストレスになる可能性があります。そのため、退職を決意した場合は「雇用保険(失業保険)」の受給方法を確認しておきましょう。ただし、可能であれば現職を続けながら転職活動を行うほうが、経済的な不安を軽減できるほか、選考も有利に進む可能性が高くなります

障害者雇用の退職理由を踏まえた転職活動のポイント

障害者雇用で退職を決めた場合、転職先で同じような理由で退職を考えることがないように、次のポイントを意識して転職活動を進めることが大切です。

  • 退職先で重視する条件を明確化する
  • 仕事内容や職場環境を事前によく確認する
  • 障害者雇用に特化した転職支援サービスを活用する

転職後の職場で重視する条件を明確化する

現職での退職理由を明確化することで、「今の職場に何が足りなかったか」が分かります。厚生労働省の「平成25年度障害者雇用実態調査結果」では、次のような点が課題として挙げられました。

  • 能力に応じた評価や昇進・昇格
  • 調子の悪いときに休みを取りやすくする
  • コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置
  • 能力が発揮できる仕事への配置
  • 短時間勤務など労働時間の配慮
  • 上司や専門職員などによる定期的な相談

現職で感じた不満を言語化することで、例えば「次はスキルを活かしやすい仕事に就きたい」など、転職先に求める条件が明確になります。

仕事内容や職場環境を事前によく確認する

求人票だけでは実際の働き方までは分からないため、転職後に希望とのミスマッチが生じる可能性があります。そのため、面接で具体的な業務内容や一日の流れ、配属先の体制や残業の有無などを確認しておきましょう。職場見学の機会があれば積極的に活用することで、実際の雰囲気やはたらく姿をイメージしやすくなります。障害者雇用の面接対策については、次の記事もご参照ください。

障害者雇用に特化した転職支援サービスを活用する

転職活動を一人で進めようとすると、不安や疑問の解消が難しかったり、視野が狭くなったりしてしまいます。次のような転職支援サービスを活用することで、あなたに合った仕事や必要な配慮事項を言語化・実現するための支援が得られます。

  • ハローワーク
  • 就労移行支援
  • 障害者専門の転職エージェント

自分に合う職場を見つけるためには「相談できる環境」も必要

障害者雇用ではたらく悩みは、自助努力や職場で解決できるとは限りません。また、医師・カウンセラーや支援機関の相談員などのプロには、本音の部分を打ち明けにくいこともあるでしょう。気軽に相談できる相手やコミュニティがあることで、問題が深刻化する前に解決策が見つかりやすくなる可能性があります。 障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」では、障害特性やはたらくことに悩みのある方が安心して交流できます。仕事に関する悩みや日々の出来事を共有したり、同じような経験のある方の話を聞いたりすることで、新たな気付きや安心感を得られるでしょう。

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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