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発達障害の人が仕事が続かない理由とは?―うまくいくための3つの工夫

発達障害特性のある方の中には、せっかく仕事に就いても長く続かず、転職を繰り返してしまうという悩みを抱えている方が少なくありません。

理由を振り返ると、「人間関係がつらかった」「作業が大変だった」「聞いていた条件と違った」など、その都度さまざまな背景が思い浮かぶと思います。 どれも実際にあった大切な理由です。ただ、その一つひとつの奥に共通している要因があります。

「曖昧な状態」が高ストレスになる”白黒思考”

共通の要因、それは「仕事に慣れるまでの“曖昧な状態”に強いストレスを感じやすい」、という点です。

新しい職場では、最初から仕事がうまくできる人はいません。人間関係も同様に、少しずつ関係性が築かれていくものです。

つまり、誰にとっても「まだよくわからない」、「うまくできない」という曖昧な期間が一定期間は続きます

しかし、発達特性のある方の中には、この「曖昧なはっきりしない状態」が苦手で、とても負担になることがあります。

「こうありたい」「こうできるはず」というイメージがあるのに、現実が追いつかないと、「全然できていない」と感じてしまうことも少なくありません。

実際には少しずつできることが増えていても「できている」と実感しにくく、「ゼロか100思考(=白黒思考)」で捉え、「ずっとゼロのまま」という感覚に陥りやすくなります。

つまり、10できた、30できた、というようなプロセスの感覚がつかみにくいため、すべて「ゼロ」になってしまい、大きなストレスとなってしまうのです。

また、入社直後は「何をすればよいのか分からない」、「指示が途切れて手が空いてしまう」といった場面も起こりがちです。これもまた、「はっきりしない状態」で、とても大きなストレスになります。そのようなときに注意を受けたり、小さなミスが重なったりすると、不安や落ち込みが一気に強まってしまうこともあります。

もちろん、業務内容と特性のミスマッチ(例:不注意傾向が強い方が正確さを求められる業務を担うなど)がある場合は、それ自体が大きな負担になります。 一方で、「まだ本格的に仕事が始まる前に辞めたくなる」と感じる場合には、この「はっきりしない状態」の”曖昧さへのストレス”が影響している可能性が大きいと言えます。

「曖昧な状態」の乗り越え方その3つの工夫

では、この「はっきりしない曖昧な状態」を乗り越えるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは3つの工夫をご紹介します。

①「少しずつ」を見える形にする

「慣れていく」、「覚えていく」という言葉は抽象的で、達成感を感じにくいものです。

そのため、仕事の習得をできるだけ小さなステップに分け、「今日はここまでできればOK」といった具体的な目標を設定することが有効です。

自分一人で設定することが難しい場合は、上司や先輩に「段階的に教えてほしい」と伝え、ゴールとプロセスステップのロードマップを示してもらうのも有効です。 一つずつクリアしていくことで、「できている」という実感が積み重なり、安心感につながります。

②理解してくれる人を一人つくる

職場の中で「自分のことをわかってくれている人がいる」と感じられるだけで、安心感は大きく変わります。直属の上司や教育担当の先輩などと、できるだけ早い段階で1対1で話す機会を持つことがおすすめです。

「こういうときに困りやすい」、「こうしてもらえると助かる」といったことを共有しておくことで、誤解を防ぎ、信頼関係を築きやすくなります。 人は「よくわからない」と感じる相手に対して、不安や距離を感じやすいものです。少しの共有が関係性を大きく変えることもあります。

③手が空いたときの行動を決めておく

作業が終わったあとに「次に何をすればいいか分からない」という時間は、大きなストレスになります。「終わったら誰に声をかけるのか」、「どの方法で連絡するのか(口頭・チャットなど)」をあらかじめ決めておくと安心です。

また、「手が空いたときにやる作業」を一つ用意しておくことも有効です。 たとえば「この資料を読む」、「チェックリストをファイリングする」など、優先度は高くないけれど進めたほうがよい作業を決めておくと、迷うストレスが減ります。

働きやすさを得るためには、「はっきりしない状態が苦手」という特性を知ることから

ここまで見ていただくと、「曖昧な状態をいかに“はっきりした形にするか”」が大切であることがお分かりいただけると思います。

仕事が続かないと、「自分は我慢が足りないのではないか」と責めてしまう方も少なくありません。けれど、それは怠惰などではなく、「はっきりしない状態」が苦手という特性の影響であることが多いのです。「はっきりしない状態が苦手」という特性を、少し難しい言葉で「潜在的了解の困難」と言います。「潜」は潜っていて「よく見えない」「はっきりしない」という意味です。自分を理解するためにはとても大事な特性の一つです。そして、これが解ったうえで工夫すると、働きやすさは大きく変わることがあります。仕事が長続きしないと自分を責めるのではなく、「どうすればやりやすくなるか」という視点で環境を整えていくことが、仕事を続ける力につながっていきます。

非公開: 佐藤 恵美 
寄稿 メンタルサポート&コンサル沖縄 代表

佐藤 恵美 

精神保健福祉士・公認心理師・キャリアコンサルタント・臨床発達心理士

北里大学院にて医科学修士取得。精神科病院や都内クリニック副院長を経て、 2020年「メンタルサポート&コンサル沖縄」を設立。企業・公的機関での労働者カウンセリングや職場研修のほか、 キャリアコンサルタント養成にも注力。日本産業精神保健学会理事。著書に『もし部下が発達障害だったら』、『部下の発達特性を活かすマネジメント』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』 (PHP研究所) など多数。 

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