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自分らしい働き方を見つけるためのコラム
うつ病と働き方|仕事と治療を両立させるための選択肢・意識したいポイント

うつ病と診断された方が、「このまま仕事を続けられるのだろうか」「どんな働き方をすべきか分からない」という不安・悩みを抱えるのは自然なことです。うつ病は集中力や判断力、対人関係にも影響があるため、これまでと同じ働き方を続けることは難しいかもしれません。しかし、「無理のない働き方」を選ぶことで、うつ病の治療と仕事を両立させることは可能です。本記事では、うつ病のある方に合った働き方の選択肢と、意識したいポイントについて解説します。
うつ病のある方が働き方で抱えがちな課題・悩み
うつ病のある方は、働き方について次のような課題・悩みが生じがちです。もし症状が重い場合は無理せず療養や、場合によっては休職を検討してみることをおすすめします。
集中力・判断力が低下する
うつ病になると集中力や判断力が大幅に低下するため、仕事で以前のようなパフォーマンスが出せません。その原因について、「怠けなのでは」「能力が落ちたのでは」と自責的に考えて、自己否定に陥ってしまうこともあります。しかし、これはあくまでうつ病の症状のせいです。
出勤・通勤そのものが大きな負担になる
うつ病は睡眠障害を伴うことから、午前中に症状が強く出るため、出勤・通勤そのものが大きな負担になります。起床や身支度、満員電車での通勤が極度のストレスになり、「はたらきたいが、会社に行くまでが耐えられない」というケースも多いです。遅刻や欠勤が増えることによる評価の低下を恐れ、無理を重ねてしまうこともあります。
対人関係・コミュニケーションに不安がある
気力の低下や感情の鈍麻により、うつ病になると対人コミュニケーションが大きな負担になります。雑談や会議での発言、顧客対応が耐えられないことも多いです。また、「やる気がない」「感じが悪い」と誤解されることを恐れるあまり、人との関わりを避けるようになります。
配慮を申し出ることに罪悪感がある
体調不良を理由に配慮や働き方の調整を申し出ることに対し、「甘えなのでは」「キャリアに悪影響では」「迷惑をかけるのでは」など、葛藤を感じる人は非常に多いです。うつ病になる人は、真面目で責任感の強い傾向があるため、自身の限界を認めることが難しく、結果として症状を長期化させてしまうことがあります。配慮を得ることへの心理的ハードルが高い点は、うつ病と働き方を考える際の大きな課題です。
仕事とうつ病の治療を両立させるためのポイント
うつ病の症状が改善してくると、「もう治療は必要ないのでは」と感じることもありますが、自己判断での中断は症状の悪化を招きます。仕事とうつ病の治療を両立させるためには、通院と治療を続けることが大前提です。そのうえで、次のポイントを意識しましょう。
職場の理解を得てサポートを受ける
無理なくはたらくためには、職場の理解とサポートが必須です。ご自身の症状について、職場の上司や同僚に伝えて理解を得ておくと、調子が崩れたときに仕事のカバーやシフト調整などのサポートが得られます。うつ病について開示することへの不安はありますが、周囲の視線や誤解を恐れながらはたらくより、理解を得られる環境を作るほうがいいでしょう。
長時間労働は可能な限り避ける
無理をせずに長時間労働や残業を避けてください。うつ病の症状の強さは日によって違うため、「今日は具合が良いからもっと頑張れる」など、ついはたらき過ぎることがあります。しかし、具合が良いからといってうつ病が治ったわけではありません。無理せず仕事量を減らし、調子の良いときもセーブしてはたらきましょう。理解や配慮を得ることは決して「わがまま」ではなく、うつ病と付き合いながらはたらくために必須なのです。
課題や悩みを抱え込まずに相談する
はたらくうえで困難や課題が生じた場合は、ひとりで抱え込まず職場に相談しましょう。ストレスや不安はうつ病の大敵なので、上司や産業医などに相談してください。障害者雇用促進法では、相談窓口の設置など相談体制の整備が事業主に定められています。そうした窓口に相談するのも有効です。
しかし、会社の人や医師に話しづらいこともあるはずです。そうした「本音の部分」を共有できる場所として後述のコミュニティを活用することで、あなたと同じ境遇にある人や乗り越えた人に相談するのも効果的です。
つらいときは休職や転職を検討しよう

前述のポイントを実践してもつらいと感じる、あるいは症状が悪化してしまう場合は、仕事との両立より治療を優先させることが大切です。
休職は再出発のための準備期間
休職は決して「キャリアの終わり」ではなく、「再出発のための準備期間」です。しっかり休める時間を取ることで、疲れ切っていた心身を回復させ、再び元気にはたらけるようになります。無理をすると症状がさらに悪化し、休職期間も長くなりかねません。まずは、医師に相談して診断書を発行してもらい、上司や人事担当者に休職届を提出してください。
転職して環境を変えるのも選択肢
現職ではたらきづらさを感じる場合や、理解・配慮が得づらい場合は、離職して療養したうえで、転職するのもひとつの選択肢です。その際は、障害者雇用枠での就労を検討してみましょう。うつ病の症状により生活や就労に支障が生じている場合は、精神障害者保健福祉手帳が取得できる可能性があります。
障害者雇用枠で就労することで、うつ病の症状に合わせて働き方を調整し、治療と両立させるための配慮が得やすくなります。特に「dodaチャレンジ」のような障害者専門の転職・就職エージェントでは、あなたの症状や適性に合った仕事・職場を紹介してもらえるので、ぜひ相談してみてください。
うつ病のある方に適している働き方
前述した課題から、うつ病のある方は次のような仕事や環境を避けるほうが好ましいです。
- ノルマや納期へのプレッシャーがある
- 対人業務の多い仕事
- 労働時間の長い仕事
- 人間関係のトラブルが多い職場
そのため、うつ病のある方は次のような働き方が選べる職場が適しています。
プレッシャーが少ない働き方
ノルマ設定がなく成果主義ではない仕事は、プレッシャーがかかりにくいため、ストレスを軽減しながらはたらくことが可能です。データ入力メインの一般事務や、梱包や検品などの軽作業などの仕事は、マニュアル化されていてイレギュラーへの対応も少ないため、うつ病のある方に向いています。
勤務時間を調整しやすい働き方
前述したように、うつ病は朝に重い症状が出やすいです。時差出勤やフレックスタイム制などのような、勤務時間を調整しやすい働き方が選べれば、通勤の負担を軽減できます。集中力を出しやすい時間帯にはたらくことで、無理なくパフォーマンスを発揮しやすくなります。
対人関係のストレスが少ない働き方
顧客対応や会議・プレゼンなどの対人業務が少なく、個人作業の比率が高い働き方はストレスを避けやすいです。業務に関する連絡なども、対面ではなくチャットツールなどで行うことができれば、心理的負担をさらに減らしやすいでしょう。状況に応じて在宅勤務やリモートワークを選択できると理想的です。
うつ病の悩みを共有できる仲間探しは「あしたのあるきかた」へ!

うつ病のある方は、業務でパフォーマンスを発揮しづらくなり、出勤・通勤も大きな精神的負担になるため、働き方そのものを変えることが大切です。まずは職場でうつ病に関する理解を得て、勤務時間や業務内容などを調整してもらいましょう。万が一、現在の職場ではたらきづらさを感じる場合は、うつ病のある方に合った働き方ができる仕事への転職が効果的です。
また、一人で悩みや不安を抱え込むのではなく、相談できる相手を探すことも重要です。障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」では、障害のある方同士の交流ができます。医師やカウンセラーなどには話しづらい本音の部分も、あなたと同じ境遇にある方となら共有できるかもしれません。この機会にぜひ、コミュニティに登録してみてください。
戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員