障害者のためのキャリア共創コミュニティ
アカウント登録 ログイン
キャリアのヒント

未来のじぶんに、ちょっと先の気づきを
自分らしい働き方を見つけるためのコラム

HOMEキャリアのヒント, 大人の癇癪と発達障害の関係は?一般的な感情表現との違いと正しい対応

大人の癇癪と発達障害の関係は?一般的な感情表現との違いと正しい対応

公開日:

ささいなことでも、ついカッなってしまうことに悩んでいませんか。癇癪(かんしゃく)は子どもによくある症状ですが、大人になっても人間関係や仕事に支障をきたすほど感情のコントロールがうまくいかないと不安になってしまいますよね。この記事では、大人の癇癪と発達障害の関係について解説します。

「癇癪持ちの大人=発達障害」は誤り

そもそも、いずれの発達障害にも「癇癪を起こす」という特性はありません。発達障害がなくても、癇癪を起こしてしまう方はいます。

ただ、発達障害の中でも「ASD(自閉スペクトラム症)」や「ADHD(注意欠如多動症)」の特性が、癇癪のように見える言動につながりやすいといえます。発達障害の特性が癇癪のように見えてしまうのは、感情の処理の仕方や、表現方法にクセがあるからです。

個人差はありますが、感情の波が極端に大きく、言動をコントロールできない感覚がある場合は、癇癪の裏になんらかの病気や障害があるかもしれません

大人の癇癪とは

そもそも「癇癪」とは、怒りや悲しみといったネガティブな感情の爆発による、衝動的・攻撃的な言動を指します。感情のコントロールがつかない乳幼児期に多い、成長の一過程としてよく見られる言動・症状の一つです。

癇癪は、誰しも一度は経験する、未発達がゆえの言動だといわれており、成長して感情のコントロールや表現方法を学ぶにつれ、徐々に落ち着いていくことが多い傾向にあります。しかし、大人になっても、感情のコントロールが苦手な方や気質の激しい方は、気持ちの昂りや混乱・興奮状態をきっかけに我を忘れ、癇癪を起こしてしまうことがあるのです。

怒りやイライラすることは誰にでもあることですが、それが直接的・衝動的で激しい言動につながりやすく、長時間持続するようなら、癇癪の可能性が高いといえます。なお、大人の癇癪の具体的な言動の例は次の通りです。

  • 些細なことに突然激怒して声を荒らげる
  • 怒りに任せて暴言を吐く
  • 物や人に当たる
  • 無視する
  • 自傷行為をする

頻繁な大人の癇癪は、子どもと比べ、社会生活上の問題になりやすいといわれています。癇癪を起こしたことに後悔して激しく落ち込んだり、繰り返してしまったりして強いストレスを感じ、精神的な不調の原因になることもあるため、早期の適切な対処が必要です。

大人の発達障害のある方が癇癪を起こしやすい理由

次に、大人の発達障害の特性が癇癪のように見えやすい3つの理由を見ていきましょう。

情動調整や行動制御の困難

ASDやADHDのような発達障害のある方は、気持ちや感情をコントロールする「情動調整」や、表現や伝え方を相手や状況に合わせて抑制・管理する「行動制御」が苦手だといわれています。苦手な状況・作業、当初の予定や自分が決めた通りに物事が進まないことなどへのイライラやフラストレーションが溜まると、その感情の収拾がつかなくなり、感情を爆発させてしまいやすくなります。

また「自分の気持ちや考えを分かってもらえない」「否定された」と感じたときにも、不安感や混乱から、ネガティブな感情が一気に高まって爆発し、癇癪を起こすことがあるようです。気持ちの切り替えをつけるのも苦手で、怒りや悲しみがなかなか収まらず、感情が爆発的に表出することもあります。

感情と表現のギャップ

一般的に、発達障害のある方は、対人コミュニケーションが得意ではありません。自分の考えや気持ちを言葉で伝えられないイライラ感で、感情を爆発させてしまうことがあります。また、自他の感情に疎い傾向にあり、相手に気持ちを伝えようにも適切な表現方法が分からず、衝動的な言動を取ってしまう方もいるようです。

発達障害がある方特有の感情の仕組みを理解し、適切な感情表現や伝え方を学ぶことが癇癪を防ぐことにつながります。

マイルールに反することへの強い抵抗感や不安感

癇癪を起こす原因として、特にASDのある方に多いのが、特性の一つである「こだわりの強さ」に由来する、マイルールに反することへの抵抗感や不安感です。定まった手順や一度決めたルール、スケジュールから外れると、強い不安や恐怖を感じ、やり場のない感情が癇癪として現れてしまいやすくなります。

そのため、これからやることや予定をあらかじめはっきりさせておき、安心して作業に取り組める環境を整えることが必要だといえます。

癇癪を起こす発達障害以外の要因

癇癪を起こしやすくなる要因として、発達障害があること以外に、次のことが挙げられます。

  • 生まれつきの気質
  • ストレスの蓄積
  • 過労・睡眠不足
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 癇癪を合併する精神障害・疾患

そもそも、感情の起伏は個人差が大きく、生まれつき怒りっぽかったり、感情表現が激しかったりする人も存在します。そのほか、ストレスや疲労の蓄積、睡眠不足が続くと、脳の機能の一部がうまくはたらかなくなったり、自律神経が乱れたりして、感情の起伏が激しくなることも珍しくありません。

加えて、ホルモンバランスが乱れると、神経伝達物質のバランスも崩れ、結果としてイライラしやすくなることがあります。「PMDD(月経前不快気分障害)」や「更年期障害」などが、ホルモンバランスの乱れによる情緒不安定の代表例です。一般的に、ホルモンバランスの乱れが要因の癇癪は一時的なものであることが多く、日常生活や仕事に支障をきたすことはあまりありません。

一方で、大人の癇癪の背後には、精神障害・疾患が隠れていることもあります。癇癪を起こしやすくなる精神障害・疾患の代表例は「うつ病」「双極性障害(躁うつ病)」「適応障害」「不安障害」「強迫性障害」「パーソナリティ障害」「PTSD(トラウマ)」「間欠性爆発性障害(IED)」などです。こうした精神障害・疾患があると、感情の起伏が激しくなったり、コントロールが難しくなったりして、怒りや悲しみが抑えられず、爆発してしまうことがあるといわれています。

【自分も周りも楽になる】大人の発達障害による癇癪をコントロールする方法

ここからは、大人の発達障害に起因する癇癪とうまく付き合っていくために実践してほしい3つの方法を紹介します。

専門機関で治療やトレーニングを受ける

発達障害の特性に由来する困りごとは、専門機関に相談することをおすすめします。まず精神科や心療内科を受診して確定診断を受けたうえ、各専門機関で薬物療法や認知行動療法、SST(ソーシャルスキルトレーニング)、カウンセリングなどの治療を受けることで、感情の制御がつきやすくなり、癇癪の症状が改善できる可能性があります。

なお、診断や薬物療法といった専門的な治療が提供されるのは、基本的に医療機関のみです。その他の各種トレーニングは、発達障害者支援センターや就労移行支援事業所といった支援機関でも受けられることがあるので、必要に応じて利用を検討してみてください。

自分の特性に応じた自己対策を講じる

発達障害に由来する癇癪を予防するには、個々の特性に応じた自己対策が肝心です。

例えば、急な変更に対応するのが難しいなら、あらかじめ先の見通しをつけておく、次の行動・作業の予測がつきやすくなる声かけをしてもらうといった対応が考えられます。自分の気持ちや感情を言葉にして伝えるのが苦手で、直接話すと癇癪を起こしやすいときは、メールやコミュニケーションツールを活用し、テキストベースに変えることなどが有効です。また、感情が昂ったときに落ち着ける場所を確保する、音楽を聞く、運動する、休日は趣味に没頭するなど、ストレス解消や気持ちの切り替えをつける自分なりの手段を見つけておくのもよいでしょう。

そのほか、心身の状態が悪いと癇癪につながりやすくなるため、生活習慣を整え、健康を保つよう努めることも大切です。加えて、自分の特性をあらかじめ周囲に伝え、合理的配慮や協力を得ることで、癇癪を起こすことが減る可能性が高まります。

まずは自分がどのようなことで癇癪を起こしやすいのかを分析し、理解を深めることで、適切な対応方法が見えてくるはずです。

同じ悩みを持つ仲間の体験談を聞く

大人の発達障害に起因する癇癪への簡単かつ有効な自己対策として、同じ悩みを持つ仲間の体験談を聞いてみることが挙げられます。

癇癪によるトラブルといった失敗体験を繰り返すと、自己否定や、自己肯定感の低下につながりやすくなります。自分ではどうしようもなく、悩んだ結果、自信や意欲をなくしたり、心身の不調につながったりすることもあるでしょう。

同じような経験をしたことのある仲間の体験談には、解決のヒントや工夫、改善のプロセスが詰まっていることが多く、癇癪に対する認識が変わるきっかけになる可能性があります。専門的な知識ではなくとも、当事者とつながり、交流することで、困りごとへの心構えや向き合い方が学べることもメリットです。

また、分かり合える仲間がいることは、不安や孤独を感じている方にとって、心の支えになります。対面での相談や交流に不安や抵抗があっても、オンラインコミュニティなら非対面・匿名で気軽につながれるので、活用してみてはいかがでしょうか。

発達障害に起因する癇癪は適切な対処とサポートが必要

感情の波が極端で、自分ではコントロールできない感覚があり、日常・社会生活にも支障をきたしているときは、発達障害に起因する癇癪かもしれません。そのほか、癇癪の裏に精神障害・疾患が隠れている恐れもあるため、気になる症状があるときは、精神科・心療内科に相談してみましょう。

発達障害や精神障害・疾患の特性による困りごとや悩みを抱えているなら、障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」に登録してみませんか。ユーザー間の自由な交流を通して、気持ちを分かり合える仲間や、課題解決のヒントが得られるかもしれません。みんなで一緒に、未来へ向けた新たな一歩を踏み出しましょう。

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

記事をシェアする

障害者雇用に関心のある方や実際に働いている方が、
相談や情報交換を通じて、より良い雇用を目指す交流の場。
「あしたのあるきかた」

ページのTOPへ戻る
HOMEキャリアのヒント, 大人の癇癪と発達障害の関係は?一般的な感情表現との違いと正しい対応