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自分らしい働き方を見つけるためのコラム

前職を離職した方や転職を検討中の方は、失業中の生活について不安があるでしょう。「失業保険」は、労働者が失業した場合、生活の安定と再就職のために受給できる社会保険制度です。障害者の場合は「就職困難者」に該当し、特別な配慮が適用される可能性が高いです。
ただし、自己都合退職の場合は待機期間や支給開始日などの条件が厳しくなるため、事前に理解しておく必要があります。本記事では、障害者が自己都合で退職した場合の失業保険の給付条件や待機期間などについて、分かりやすく解説します。
失業保険とは
「失業保険」とは、労働者が離職・解雇などにより失業した場合、生活の安定や再就職の支援のための支給される社会保険制度で、正式名称は「雇用保険」といいます。ただし、失業保険は「失業したら自動的に支給される」ものではなく、各種書類を用意してから、お住まいの自治体のハローワーク(公共職業安定所)で申請する必要があります。また、申請したらすぐに支給されるわけではありません。
障害者は「就職困難者」に該当する
失業保険の受給者には、「一般受給者」「就職困難者」という区分があり、就職困難者は受給条件や期間などで優遇措置が受けられます。就職困難者とは、何らかの理由で再就職が難しい人を指し、障害者手帳の所持者や社会的事情で就職が困難な人が対象者です。
また、障害者手帳を所持していない場合でも、うつ病・双極性障害・統合失調症・てんかんなどで通院中の場合は、医師の診断書によって就職困難者と認められる場合があります。
障害者が失業保険を受給できる条件
障害や精神疾患があって就職困難者に該当する場合、失業保険の受給資格者となる基本的な条件は次のとおりです。
- 失業中で現在求職活動を行っていること
- 離職以前の1年間で雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること
ただし、原則として4週間に1回はハローワーク(公共職業安定所)で失業の認定を受けなければ、失業保険の受給がストップしてしまう点に注意が必要です。受給期間や待機期間などの詳しい条件については後述します。
失業保険の受給額は直近の賃金で決まる
失業保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」と呼びます。この基本手当日額は、原則として、離職以前の半年間に支払われた賃金の合計を180で割った金額の約5~8割です。この「給付率」はさまざまな条件で算出され、賃金の低い方ほど高くなります。
ただし、基本手当日額には上限額・下限額が定められています。基本手当日額の上限額・下限額は定期的に見直されており、2025年8月時点で離職時の年齢に応じて次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 | 基本手当日額の下限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 | 2,411円 |
| 30~44歳 | 8,055円 | |
| 45~59歳 | 8,870円 | |
| 60~64歳 | 7,623円 |
給付率や上限額・下限額の詳細については、厚生労働省の資料をご参照ください。
障害者の失業保険における退職理由と支給開始日・給付日数の関係
障害者の失業保険で特に気になるのが「支給開始日」や「給付日数」でしょう。実は、これらの条件は前職の「退職理由」によって異なります。なお、詳細については厚生労働省の公式資料をご確認ください。
会社都合退職とは
「会社都合退職」とは、企業側の事情により労働者を一方的に退職させることを指し、次のようなものが該当します。
- 倒産
- 事業縮小
- リストラ
- 労働条件の大幅な変更
- 希望退職制度による退職
また、各種ハラスメントや過重労働などで退職せざるを得ない状況に追い込まれた場合も、会社都合退職として認められるケースがあります。契約更新の明示・確約があった、もしくは本人が希望していたにも関わらず、契約期間満了後に会社から「更新しない」と明確に告げられた場合も会社都合退職です。
失業保険の給付開始日は自己都合退職の場合より早く、離職票を提出して求職申し込みを行ってから7日間の「待機期間」が経過後となります。
自己都合退職とは
自己都合退職とは、労働者の個人的な事情で離職することを指し、次のようなものが該当します。
- ミスマッチによる離職
- 結婚・出産・育児など
- キャリアアップのための転職
- 配偶者の転勤に伴う転居
- 懲戒解雇
自己都合退職の場合は、会社都合退職の場合より支給開始日が遅くなり、待機期間に加えて「給付制限期間」が加算されます。給付制限期間は原則1ヶ月ですが、懲戒解雇の場合は3ヶ月となるため注意が必要です。
ただし、障害のある方が退職した場合は「特定理由離職者」に該当する可能性があり、給付制限期間なしで「7日間の待機期間」の直後から失業保険を受給できます。特定理由離職者に該当しない自己都合退職の場合は、「7日間の待機期間+1ヶ月間」もしくは「7日間の待機期間+3ヶ月間」が経過後の受給開始となります。
就職困難者の「給付日数」は同じ
失業保険で特に気になる「給付日数」ですが、障害や精神疾患があって就職困難者に該当する場合、退職理由による違いはありません。ただし、「離職時の満年齢」や「被保険者であった期間」によって、次のように変動します。
| 離職時の満年齢 | 被保険者であった期間 | |
| 1 年未満 | 1 年以上 | |
| 45 歳未満 | 150 日 | 300 日 |
| 45 歳以上 65 歳未満 | 360 日 | |
一般受給者の場合、被保険者であった期間が10年未満で給付日数が「90日」となっているため、就職困難者に該当する障害者の受給条件は緩和されているといえます。
障害者が失業保険を受給する方法

障害のある方が失業保険を受給するためには、次のポイントを意識して手続きを進める必要があります。
申請に必要な書類一覧
失業保険の受給申請を行うために、まずは次の書類を用意しましょう。
- 離職票
- マイナンバーカードもしくは本人確認書類
- 写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳
離職票には「被保険者資格喪失届(雇用保険被保険者離職票-1)」と「被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票-2)」の2種類があり、いずれも用意して必要事項を記入しておく必要があります。離職票は前職の会社が発行しますが、「離職理由」に間違いがないか確認してください。万が一、会社から離職票が発行されない場合や内容に誤りがある場合は、居住市区町村の管轄ハローワークに相談しましょう。ハローワークが前職に離職票を送るよう促してくれます。
失業保険を申請・受給する流れ
失業保険を申請・受給する流れは次のとおりです。
- 離職証明書に記入する
- ハローワークで申請手続きを行う
- 雇用保険受給者初回説明会に出席する
- 定期的に失業の認定を行う
- 失業保険を受給する
雇用保険受給者初回説明会は必ず参加する必要があり、その時点で「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を取得でき、第一回目の「失業認定日」が通知されます。失業認定日とは、失業状態にあることを確認するためのもので、原則として4週間に1回はハローワークで「失業認定申告書」に求職活動の状況などを記入することが必要です。
失業認定日から通常5営業日で、指定した金融機関の口座に失業保険が振り込まれます。なお、詳細についてはハローワークの公式サイトを参照、もしくは自治体のハローワークにご相談ください。
障害者の失業保険の受給と転職に役立つ支援機関・サービス
失業保険は基本的には「再就職の支援」のために支給されるものであるため、失業保険の申請・受給と転職活動はセットで考えることが大切です。そのために、次のような支援機関・サービスが役立ちます。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)とは、求職者への職業紹介や、雇用保険に関する業務を行うための機関です。「障害者に関する窓口」では、障害者雇用の求人を紹介しており、履歴書作成や面接対策など、転職活動に必要なサポートも受けられます。
障害者雇用専門の転職エージェント
障害者雇用に特化した転職エージェントであり、さまざまな障害に関する専門知識や支援経験が豊富な、キャリアアドバイザーのサポートが受けられます。ご自身の障害特性や症状への理解を深め、どのような仕事・職場ではたらくのが向いているか、合理的配慮の内容も含めて明確化できます。
例えば「dodaチャレンジ」では、非公開求人を含む障害者雇用枠の求人紹介や応募書類の添削・面接対策など、納得のいく就職先が決まるまで丁寧なフォローが受けられるので安心です。
障害者向けのコミュニティサイト
失業中あるいはこれから離職する障害者の方は、「失業保険を受給できるか」、「転職できるか」など、さまざまな不安があるはずです。同じ障害や悩みのある「仲間」と交流できれば、悩みを解消するためのヒントが得られるでしょう。近年では、障害のある方が登録して気軽に交流できる、障害者向けの「コミュニティサイト」が増えており、参加することで障害者雇用や働き方に関する情報を集めることができます。
障害者の失業保険や転職に関する悩みを「あしたのあるきかた」で相談しよう!

自己都合退職の場合は原則として、離職票の提出から1ヶ月と7日間が経過してから、失業保険の給付を受けることができます。ただし、4週間に1回はハローワークに通う必要があるため、転職活動も合わせて行うことが重要です。また、転職活動の際はさまざまな不安や疑問が生じるため、相談できる「仲間」がいると安心できます。
障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」では、さまざまな障害のある方と交流できます。転職活動を成功させるためのコツや、障害特性・症状に合った仕事を探すためのヒントが得られるでしょう。この機会にぜひコミュニティに参加して、これからの働き方について考えてみてください。
戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員