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大人の発達障害がある家族にストレスを感じている方へ|カサンドラ症候群の予防策

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近年、発達障害の研究が進み、認知度が上がったことで、大人になってから気づく「大人の発達障害」と診断される方も増えています。大人の発達障害は、本人だけではなく、身近な存在である家族にも大きな影響を及ぼします。特性によるさまざまな困り事に悩まされ、一緒にいることがつらいと感じている方もいるかもしれません。無理して付き合い続けると、カサンドラ症候群を発症する恐れもあることから、適切な付き合い方や距離感を知っておくことが大切です。今回は、大人の発達障害の家族がいる方によくある困りごとと、ストレスを溜めない付き合い方を解説します。

大人の発達障害がある方の家族がストレスを抱えやすい理由

まず、大人の発達障害がある家族がいる方が、なぜストレスを抱えやすいのかを見ていきましょう。

障害に対する知識が不足しているから

大人の発達障害の社会的認知度が上がったといっても、すべての方が正しく理解できているとは限りません。「少し変わった人」「単なるわがまま」「自分が悪いのかもしれない」といった誤解を抱いたまま接していると、互いの理解にズレが生じ、ストレスを感じやすくなります。また、家族間だけではなく、周囲の無理解による誤解により、強いストレスを感じることもあるでしょう。

特性によるトラブルへのフォローが求められるから

一般的に、大人の発達障害のある方が起こしたトラブルは、最も身近な家族がフォローすることになるケースが多いです。家事や子育て、コミュニケーションに関するミスやすれ違い、物忘れなど、日常的な行動特性に振り回されることもあるでしょう。ささいな困り事にとどまらず、後先を考えない衝動的・突発的な言動による心身へのダメージ、強いこだわりによる考えの押し付けや負担の増加、浪費による家計圧迫など、家族にとって大きなストレスが伴うことも少なくありません。

自分にとって身近な人に共感してもらえないから

本来、家族は互いに理解し、支え合うことで感情的にサポートする役割を担っています。しかし、発達障害があると、他者の感情や想いをうまく汲み取れず、家族間でも一方通行になりがちです。すれ違いが続くと「どうせ理解してもらえない」と投げやりになることもあるでしょう。特に、周囲に家族について相談できる相手や、悩みに共感してくれる人がいないと、孤立したように感じられ、ストレスが溜まる一方となってしまいやすくなります。

大人の発達障害のある方の家族は「カサンドラ症候群」に要注意!

「カサンドラ症候群」とは、当事者とのコミュニケーション不全や特性による困り事などのストレスを原因に、関係者の心身に不調をきたした状態を指します。症状は人によってさまざまですが、代表例として、強いイライラ感や不安感をはじめとする抑うつ状態、過眠・不眠などの睡眠障害、食欲不振・増進といった摂食障害などが挙げられます。そのほか、頭痛や腹痛、慢性的な疲労感といった身体症状として現れるケースも珍しくありません。

特に、責任感の強い方や真面目な方、感受性の強い方、距離が近く一緒に過ごす時間の長い配偶者・パートナーの方は自分を責めてしまいやすく、カサンドラ症候群になりやすい傾向にあります。症状が深刻化すると、うつ病・適応障害といった精神疾患を発症する恐れもあるため、対策と早期の対処が肝心です。

大人の発達障害のある家族から受けるストレスを減らすコツ

ここでは、大人の発達障害のある家族から受けるストレスと上手に付き合うための4つのポイントを紹介します。

障害特性への理解を深める

発達障害のある家族との適切な付き合い方や距離感をつかむためには、まず障害特性を理解することが大切だといえます。一口に発達障害といっても、その特性や程度は人それぞれだからです。

例えば、ASDのある方と話すときには主語や時間、場所、対象などを具体的に説明する、ADHDのうち不注意の傾向が強い方には確認作業を徹底させるなど、特性に応じた接し方を心がけてみてください。発達障害のある方とその家族が互いに理解を深め合う時間を作り、配慮事項を明らかにすることで、コミュニケーション上のストレスが大きく軽減できるはずです。

明確なルールを定める

発達障害のある方には、家事や育児、生活上のルールを明確化し、それを分かりやすいように示すことが有効です。あらかじめルールが明確になっていれば、発達障害のある方にとって先の見通しがつきやすくなり、安心感を与えられます。また、視覚情報の理解に強いという発達障害によくある特性を踏まえ、カレンダーやメッセージボード、スケジュール管理アプリなどを活用し、ルールを視覚化するのもおすすめです。

ただし、家族が決めたルールを一方的に押し付けるのは避けてください。個々の障害特性を踏まえ、無理なく守れるルールを一緒に考えるとよいでしょう。

心身をリフレッシュさせる時間と手段を確保する

どれほど対策していても、身近に発達障害のある方がいるストレスを完全になくすのは困難です。ストレスを溜めないように工夫するだけではなく、負担を感じたとき、気持ちをリフレッシュさせる時間と手段を確保しておくことも重要だといえます。

発達障害のある家族がいる方にとって、息抜きはサボりや逃げではなく、ストレスと上手に付き合っていくために欠かせない時間です。リフレッシュ方法は、ショッピングや読書、運動、友人・知人と過ごすなど自分にとってストレスが解消できることなら何でも構いません。ただし、過度な飲酒や喫煙、ギャンブルなど依存性の高いことは長い目でみて精神的な負担を増大させる恐れがあるため、避けることをおすすめします。

専門の支援機関・窓口に相談する

国や自治体では、市区町村役場の障害福祉課や精神保健福祉センター、発達障害者支援センターなど、発達障害のある方本人や家族の相談を受け付ける機関やサービスを設けています。また、発達障害の専門科である精神科や心療内科では、家族同伴での受診や家族からの相談も受け付けていることがあります。

大人の発達障害当事者の家族がカサンドラ症候群を発症し、具体的な身体・精神症状が出ている場合は、根本的な解決策ではないものの、薬物療法といった対症療法で治療を受けることが可能です。そのほか、発達障害のある方本人や家族が集う自助グループ、家族会、コミュニティなどもあり、当事者同士での意見交換や悩み相談が開催されています。

対面では話しにくいという場合は、メンタルヘルスポータルサイトや、コミュニティサイトで相談してはいかがでしょうか。誰かにつらい気持ちを相談することで、心が軽くなったり、自分では気づかなかった解決のヒントが得られたりすることもあるので、気軽に利用してみてください。

もしかしたら大人の発達障害?家族に受診を勧めるときのポイント

大人の発達障害は、本人に自覚がなく、家族や周囲からの指摘をきっかけに判明するケースも多いです。誰にとっても、自分が発達障害かもしれないと受け入れるのは、簡単なことではありません。指摘や受診の勧めを受けたことに混乱し、衝動的・突発的な言動を取ることもあるでしょう。

家族に医療機関の受診を勧めるときは、本人が安定しているときに話を切り出すよう心がけてください。特に、職場で起きた困り事やトラブルに関する相談を受けたときが、自覚や受診を勧めるチャンスです。努力不足ではなく、生まれつきの障害が原因かもしれない旨を伝え、不安に寄り添うことで、冷静に受け止めてもらえる可能性が高まります。

大人の発達障害のある家族に疲れてしまったときは一人で悩まないで

大人の発達障害のある家族に対してストレスを感じるのは、我慢や努力が足りないからではありません。特性による困りごとは、障害者本人だけではなく、その家族も巻き込むものです。

障害特性に対する理解を深め、明確なルールを決めることでストレス軽減につながりますが、どうしてもつらいときもあるでしょう。そんなときは、無理せず、誰かに相談してください。身近に相談できる相手がいなくても、医療機関や自治体の障害福祉の窓口、自助グループ、コミュニティなどさまざまな相談先があるので、一人で悩まず、ぜひ利用を検討してみてください。

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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