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自分らしい働き方を見つけるためのコラム

現在、精神障害で障害年金を受給している中で再就職をご検討中の方は、「障害年金が継続されるのか」という点が心配ではないでしょうか。実際には、はたらきながら「障害厚生年金3級」を受給されている方は意外と多いです。
障害厚生年金3級をはたらきながら受給することで、経済的な負担を大幅に軽減できます。ただし、必ずしも支給されるとは限らないことや、申請手続きの手間がかかる点には注意が必要です。本記事では、精神障害のある方がはたらきながら障害厚生年金3級を受給するポイントについて、分かりやすく解説します。
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はたらきながら障害年金を受給している精神障害者は多い
厚生労働省が2023年に発表した「障害年金制度」のデータをもとに、はたらきながら障害年金3級を受給している精神障害者の現状について、次のポイントから解説します。
3割以上がはたらきながら受給している
厚生労働省が2023年に発表した「障害年金制度」によると、障害種別ごとの障害年金受給者の就労率は次のとおりです。
| 障害種別 | 就労率 |
| 身体障害者 | 48.0% |
| 知的障害者 | 58.6% |
| 精神障害者 | 34.8% |
身体障害者や知的障害者と比べると少ないですが、3割以上の精神障害者がはたらきながら障害年金を受給しています。
障害厚生年金3級受給者の年収は幅広い
障害年金の受給者トータルで見ると、年収50万円以下が46.9%、年収50~100万円が17.4%となっており、過半数が年収100万円以下です。しかし障害厚生年金3級に関しては、次のように年収の幅は広くなっています。
| 0~50万円 | 16.5% |
| 50~100万円 | 15.2% |
| 100~150万円 | 14.6% |
| 150~200万円 | 10.5% |
| 200~300万円 | 12.4% |
| 300~400万円 | 11.5% |
| 400~500万円 | 6.5% |
| 500万円以上 | 10.3% |
その理由として「障害の程度」が考えられます。障害厚生年金には原則として所得制限がなく、障害厚生年金3級は「労働が相当な制限を受ける」状態だと認められれば受給できます。一方で、障害厚生年金1級・2級は「重度の障害」や「日常生活が著しい制限を受けること」が条件となるため、そもそもはたらくこと自体が難しい状態なのです。
「就労の有無」は受給条件に含まれていない
日本年金機構の「障害年金ガイド」によると、障害基礎年金と障害厚生年金それぞれ、初診日や障害等級、保険料の納付状況などの条件はあります。しかし、「就労の有無」については記載されていないため、就労していることが原因で障害年金3級の支給を拒否されることは、基本的には少ないと考えられます。
ただし、障害年金はそもそも「生活や仕事に制限がある場合」に支給されるものなので、完全に無関係であるとは言い切れません。後述するように、就労への影響や職場で受けている合理的配慮など、ご自身の状況について分かりやすく説明できるように準備してから、障害厚生年金3級の申請手続きを行うことが重要です。
そもそも精神障害者の「障害年金3級」とは
厚生労働省の公式サイトによると「障害年金」とは、障害や疾患などにより生活や仕事に制限が生じる場合に受給できる年金です。精神障害があって精神障害者保健福祉手帳を所持している方は、一定の条件を満たすことで障害年金3級を受給できる可能性があります。
障害年金3級は障害厚生年金のみ
公的年金制度は、1階部分の「国民年金」と2階部分の「厚生年金」から構成されており、障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類です。障害の診断・治療のために初めて医療機関を受診した日に、国民年金・厚生年金のどちらの被保険者だったかにより障害年金の種類が決まります。国民年金の場合は障害基礎年金、厚生年金の場合は障害厚生年金です。
ただし、障害基礎年金は1級・2級の2段階、障害厚生年金は1~3級の3段階となっています。障害基礎年金に3級は存在せず、2階部分の障害厚生年金3級しかありません。最初の受診日に厚生年金の被保険者でなかったフリーランスや自営業の方は、障害厚生年金3級を受給できない点にご注意ください。
障害厚生年金3級の最低保証額は62万3,800円
障害厚生年金は障害基礎年金とは異なり、定額ではなく報酬比例の年金額となっています。障害厚生年金3級の最低保証額は、2025年10月時点で62万3,800円です。つまり、最低でも年額62万3,800円が支給されるということです。
障害厚生年金3級の支給が停止されることはある?
精神障害は改善が見込まれることから「有期認定」となっており、1~5年周期で更新手続きを行う必要があります。そのため、障害年金3級の支給が一度認められた場合でも、「仕事の制限が少なくなった」「障害の症状が改善した」などの場合は、障害年金の支給が停止されるケースがあるので注意が必要です。
精神障害のある人がはたらきながら障害厚生年金3級を受給するメリット

精神障害のある人がはたらきながら障害厚生年金3級を受給することで、次のようなメリットが得られます。
経済的なサポートが得られる
はたらきながら障害厚生年金3級を受給することで、経済的な負担に対するサポートが受けられます。精神障害のある方は、治療や通院などで必要な費用が多いため、一定期間ごとに決まった金額が支給される障害厚生年金3級は心強いサポートになるでしょう。
障害年金は非課税所得となる
障害年金は「非課税所得」に分類されるため、受給額分の所得税や住民税などを支払う必要がありません。そのため、障害厚生年金3級の最低保証額である62万3,800円が支給額の場合は、62万3,800円をそのまま受け取れます。仕事の収入から徴収される税金もこれまでと変わりません。
障害年金は使い道が制限されない
生活保護とは異なり、障害年金は使い道が限定されることはなく、住宅や自動車の購入にも制限がかかりません。そのため、精神疾患の治療費以外にも、生活費や貯蓄などさまざまな用途に回すことができます。
精神障害者がはたらきながら障害厚生年金3級を受給するためのポイント
前述したように、「精神障害者保健福祉手帳を所持していれば必ず障害厚生年金3級を受給できる」というわけではありません。特にはたらきながら受給する場合は、申請内容に不備があると支給を却下される可能性があるため、申請時は次のようなポイントに注意が必要です。
- 精神疾患の初診日が厚生年金保険の被保険者期間にある
- 障害の状態が障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当している
- 初診日の属する月の2ヶ月前までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間・免除期間の合計が3分の2以上を占める
適切な診断書を専門医に作成してもらう
医師が作成する診断書は、障害厚生年金3級の審査に大きな影響を与えます。主治医に日常生活や社会生活などで感じている課題を伝え、「就労に制限が生じている」ことを診断書に記入してもらうことが大切です。仕事の様子や配慮事項についても、診断書で触れておくといいでしょう。
職場で受けている合理的配慮について伝える
精神障害のある人が障害年金3級を申請する際、「病歴・就労状況等申立書」を作成する必要があり、診断書と同じく審査基準になります。就労中の場合は「仕事に制限があるかどうか」が考慮されるため、はたらくうえで生じる課題や職場で受けている合理的配慮について記載し、「配慮を得て何とかはたらけている」と示しましょう。
- 通常より短時間しかはたらけない
- 特別な勤務形態が認められている
- 業務内容が軽減されている
- 休憩時間や休日が通常より多い
- コミュニケーションに困難がある
上記のように、医師の診断書だけでは見えない「働き方」について、具体的にイメージできるように分かりやすく伝えることが重要です。
障害年金に関する情報を集める
はたらきながら障害厚生年金3級を受給するためには、審査に通るために条件を満たし、必要な書類を作成する必要があります。事前準備が不十分な場合は、障害厚生年金3級の申請を却下されることがあるため、さまざまな情報を集めておくと安心です。特に、障害厚生年金3級を実際に受給している方に話を聞くことで、申請手続きに役立つヒントが得られるでしょう。
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はたらきながら障害厚生年金3級を受給している精神障害者の方は多いです。治療や受診の負担などの経済的負担を軽減できることが大きなメリットですが、申請内容によっては却下されてしまう可能性があるため、事前に情報を集めて書類などの準備を整えておく必要があります。
精神障害・発達障害のある方は、就労や働き方に関してさまざまな課題を抱えがちです。悩みを解消して就労のための一歩を踏み出すために、障害者のためのキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」が役立ちます。障害厚生年金3級についても、受給中の方に相談することで「どのように準備すべきか分からない」「却下されてないか不安」などの悩みを解消できるでしょう。
コミュニティではさまざまな情報が共有されており、あなたに合った仕事や合理的配慮について考えるきっかけにもなるので、この機会にぜひ「あしたのあるきかた」に登録してみてください!
戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員