障害者の就活対策は自己分析から!自己理解を深めるワークシート
就職活動を始めるにあたって、はじめに取り組むべきことは「自己分析」です。「向いている仕事がわからない」「何をアピールすればいいのか悩む」といった不安を抱える方にとって、自己分析は就職活動の心強い味方と…
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採用選考において「自己PR」は採用率を大きく左右する重要なプロセスです。同じ内容でも、書き方・伝え方次第でまったく違う印象を与えます。この記事では、障害者雇用における自己PRを作成するポイントをまとめました。自己PRの説得力を高める基本構文と、本番でそのまま使える例文などの役立つ情報が満載なので、ぜひ参考にしてください。
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「自己PR」とは、応募書類や採用面接で、自分の特技や長所といった魅力を企業にアピールするための項目・工程を指します。これまでの職務経験やその中での工夫などの話を通して、企業に自分の魅力を積極的に伝える手段です。また、ほかの応募者と差別化を図る手段にもなります。自分にとってウィークポイントといえる特徴でも、伝え方に工夫を凝らせば、面接官へ好印象を与えることが可能です。
自己PRを考えるプロセスを、4つのステップに分けて説明します。
説得力のある魅力的な自己PRを作成するためには、自己分析が不可欠です。自らを客観視してこれまでの経歴や取得した資格・スキルを洗い出し、特徴的な事例をリストアップしてみることで、自分の強みや弱みが正しく把握できるようになります。
障害者雇用の採用選考において、個々の障害特性は必ず聞かれるポイントです。特性をウィークポイントとして否定的に捉えるのではなく、個性として正しく理解し受け入れることで、強みや配慮事項が浮き彫りになるほか、周囲にもポジティブに伝えられるようになります。できること・できないことや得手不得手、仕事をするにあたって必要とする配慮事項が明確になるよう考えてみてください。
自己PRを考える際は、企業分析を深めることも大切です。企業が求める人材を明らかにすることで、どのようなことをPRすればよいかが見えてきます。自己分析で見つけたアピールポイントを、企業の求める人物像にフィットさせてアピールしましょう。
これまでのまとめとして、明らかになった自身の特徴や障害特性、企業分析の結果を簡潔にまとめて言語化します。企業の求める人物像も踏まえ、入社後に活かせる強みやスキルが伝わる文章を作成してください。

自己PRの基本構成となるのが「PREP法」です。「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」の4つのキーワードから成る文章作成のフレームワークであり、伝えたい内容を短い文章で効果的にアピールできる手法として、自己PRの構成に向いているといわれています。ここでは、PREP法に基づき、自己PRの作り方を確認していきましょう。
はじめに、自己PRの「結論」となる自分のアピールポイントを簡潔に述べましょう。最も重要な主張を最初に持ってくることで、限られた面接時間の中で自分のアピールポイントを強く印象づける効果が期待できます。
次に、結論として伝えたアピールポイントを裏付ける理由を述べます。根拠に基づく主張には説得力が生まれ、誰もが納得のいく話になります。
続いて、結論と理由を強化する具体的なエピソードを盛り込みましょう。具体例を述べることで、自己PRにオリジナリティや厚みが生まれ、より魅力的な内容になります。
話に盛り込むエピソードは、これまでの職歴で経験したことのほか、日常的なことでも構いません。ただし、あまりに話が長すぎると時間が足りないうえ、くどい印象になりかねないので、実際に経験したことや努力したことなどの概要を簡潔にまとめることをおすすめします。
最後に、自己PRを締めくくりとして、再び結論を述べます。アピールポイントを繰り返すことで、面接官の心により強い印象が残せるからです。企業が求める人材を踏まえ、自分の長所や特技を入社してからどのような形で活かせるのかを伝えてください。
| 私の強みは、集中力の高さです。ASD(自閉スペクトラム症)の特性もあり、スピーディーかつ正確にデータを入力できます。 実際に前職では、1日に◯件のデータを処理し、ミスが少ないことにも高い評価を得ていました。この高い集中力やスキルを活かし、御社に貢献できると考えています。 |
STAR法とは「Situation(状況)」「Target&Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」のキーワードから成る文章作成のフレームワークです。PREP法と比べ、より具体性を重視した構成であり、これまでの経験や体験、課題解決へ向け努力したエピソードを通して面接官の心に強く訴えかける効果が期待できます。自己PRはもちろん、PREP法による構成の中で、エピソードの説得力を強化したいときにも活用できる手法です。以下では、STAR法による自己PR構成について説明します。
まず、これから伝えるエピソードがどのような状況に置かれていたのかを述べます。面接官に話の背景を説明し、スムーズに導入するためのプロセスです。
次に、先述の状況を踏まえ、自身にどのような目標が課せられていたのかを伝えましょう。課題を具体的かつ簡潔にまとめることで、次のテーマとなる行動の動機づけとなり、面接官に伝わりやすくなります。
続いて、課題解決に向けて実際にどのような行動を取ったのかを述べてください。「頑張った」「たくさんやった」といった抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードや取り組み、それらの意図を盛り込み、再現性の高さをアピールするのがポイントです。
最後に、行動の結果、どのような成果が得られたのかをまとめます。企業の求める人材を踏まえ、その結果や成果をどのような形で活かせるのかを伝えましょう。
| 私は左腕に障害があり、両手を使った作業や動作ができません。前職で従事していた事務職では、いかにしてスムーズかつ迅速に情報を処理できるかが課題でした。そこで職場の合意の下で入力支援ツールやヘッドセットなどの補助ツールを導入し、パソコン入力や電話応対なども問題なくできるよう努めました。また、MOSや秘書検定2級を取得したことで、業務をより円滑に遂行できるようになりました。御社の業務でもこうしたスキルを活かし、より高いパフォーマンスを発揮して貢献していきたいと考えています。 |

ここからは、自己PRをより効果的に伝えるための3つのテクニックを解説します。
自己PRでは「◯年勤務」「◯件の実績を上げた」などの数字や実際のエピソードを盛り込むことをおすすめします。話の内容に具体性と説得力が生まれ、アピールポイントがより伝わりやすくなります。
自己PRを伝える際は明るい態度を心がけてください。同じような内容や、求める配慮事項を伝える際、ネガティブな様子より、ポジティブな発言・態度のほうが好印象を与えられます。同様に、履歴書といった文章で伝えるシーンでも、ポジティブなワードや表現を選ぶことが大切です。
模擬面接や、客観的なアドバイスも取り入れて準備しておけば、本番にも自信を持って臨めるようになります。
採用選考における自己PRは、複数のパターンを考えておくことをおすすめします。面接官が指定する制限時間はさまざまだからです。1分、5分など複数パターンを用意しておくことで、どのような状況でも慌てず落ち着いて対応できるようになります。
同じ内容でも、伝え方に少し工夫を凝らすだけでぐっと魅力的な自己PRになります。PREP法やSTAR法を基本に具体性のある自己PRを考えるとともに、明るく前向きな印象を与える態度が取れるよう事前準備を徹底すれば、自信を持って本番に臨めるようになるはずです。
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上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員