障害者のためのキャリア共創コミュニティ
アカウント登録 ログイン
キャリアのヒント

未来のじぶんに、ちょっと先の気づきを
自分らしい働き方を見つけるためのコラム

HOMEキャリアのヒント, 公務員の障害者雇用枠ではたらくメリット・デメリットは?求められる人物像も紹介

公務員の障害者雇用枠ではたらくメリット・デメリットは?求められる人物像も紹介

公開日:
公務員の障害者雇用枠の実態 はたらきやすさと課題、求められる人物像を徹底解説!

一般企業と同様、国や自治体の公務員職にも障害者雇用枠があります。公務員は「安定している」「待遇が良い」というイメージがありますが、障害者雇用の場合はどうなのでしょうか。本記事では、障害者雇用枠で公務員として働くメリット・デメリットや求められる人物像を詳しく解説します。

>> 同じ悩みを持つ仲間と情報交換できる伴走型コミュニティ「あしたのあるきかた」

公務員の障害者雇用枠で就労するメリット

公務員の障害者雇用枠で就労するメリットには、次のようなものがあります。

民間企業の障害者雇用より給与水準が高い

公務員の給与水準は俸給表で公開されています。一般的な行政職の最も低い職位である1級1号俸の場合、給与は183,500円と定められています。

一方で、厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査によると、障害者雇用ではたらく人の平均賃金は次のとおりです。

障害者雇用枠(身体障害者)235,000円
障害者雇用枠(知的障害者)137,000円      
障害者雇用枠(精神障害者)149,000円
障害者雇用枠(発達障害者)130,000円

学歴・経歴・職種などによる違いはありますが、障害者雇用枠ではたらく公務員は給与水準が高い傾向にあると考えられます。なお詳細は後述しますが、公務員においては一般雇用と障害者雇用で、給与水準の違いは基本的にありません。

安定して長期的にはたらきやすい

一般的に、公務員は「安定している」という印象がありますが、障害者雇用の場合でも同じです。厚生労働省の国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果によると、国の行政機関ではたらく障害者のうち、83.4%が職場に定着しています。

障害者雇用の現状等では、民間企業の障害者雇用における1年後職場定着率は70.4%となっているため、公務員のほうがより安定就労しやすいことが分かります。障害者の就労では「定着」が大きな課題となりますが、公務員を目指すことで長期間就労できる可能性が高まるかもしれません。

社会的信用が高くなる

一般雇用の場合と同じく、障害者雇用枠ではたらく公務員の社会的信用は高いです。一般的に、民間企業の会社員に比べて公務員は収入や雇用が安定しているうえ、倒産による失業リスクも基本的にはありません。そのため公務員としてはたらくことで、クレジットカードやローンの審査はもちろん、賃貸物件の入居審査で有利になるなどさまざまな恩恵が得られるでしょう。

公務員の障害者雇用の現状

公務員の障害者雇用の現状について、次のポイントから見ていきましょう。

公的機関でも障害者雇用が進んでいる

障害者雇用促進法により、従業員数が一定数以上の企業には、全従業員に占める障害者の割合を法定雇用率以上にすることが義務付けられています。2025年現在の法定雇用率は民間企業で2.5%、公的機関で2.8%(※都道府県等の教育委員会は2.7%)となっています。

公的機関の多くで法定雇用率を達成

厚生労働省の令和6年 障害者雇用状況の集計結果によると、公的機関の雇用障害者数と実雇用率は次のとおりです。

公的機関   雇用障害者数(前年値)実雇用率(前年値)
1万428.0人(9,940.0人)3.07%(2.92%) 
都道府県1万1,030.5人(1万627.5人)3.05%(2.96%)
市町村3万7,433.5人(3万5,611.5人)2.75%(2.63%)

いずれも対前年比で増加しており、国と都道府県では法定雇用率の2.8%を上回っているため、公的機関における障害者雇用に対する姿勢は積極的であるといえます。そのため以前と比べて、障害者雇用で公務員になれるチャンスは増えていると考えられます。

公務員職における障害者雇用の気になる特徴

公務員の障害者雇用枠で就労することを検討するうえで気になる、次のポイントについて解説します。

仕事内容

公務員は「国家公務員」と「地方公務員」の2種類に分けられます。国家公務員は国家機関や行政執行法人などに所属し、総合職・一般職・専門職といった職種で専門スキルを活かしてはたらくことが特徴です。一方で地方公務員は、都道府県庁や地方自治体に所属し、地域に根ざしたサービスを提供します。

障害者雇用の場合でも基本的な部分は変わりませんが、「障害のある方に配慮できる環境・働き方」として、民間企業と同様に「定型的な事務業務」が多い傾向があります。

給与水準

前述したように、公務員の給与水準は俸給表で定められており、昇給・昇格や賞与など基本的なシステムは、同じ職種であれば一般雇用と障害者雇用は変わりません。

例えば、厚生労働省の国家公務員(都道府県労働局職員)障害者採用選考試験受験案内における「給与等」の項目では、「採用当初の俸給月額(月額給与)は150,100円で、採用前の経歴に応じて増額します」と記載されており、雇用の種類自体は関係ないことが分かります。ただし、職種や勤務時間によって給与水準が変わる点には注意が必要です。

公務員の障害者雇用枠で就労するデメリット

公務員試験

公務員の障害者雇用枠ではたらくことを検討する場合は、次のようなデメリットについて留意しておきましょう。

公務員採用試験に受かる必要がある

公務員になるためには「公務員採用試験」に合格しなければなりません。採用試験では行政法や一般教養など幅広い知識が問われるため、過去問や参考書を活用した試験対策が重要です。前述したメリットから、公務員は障害者雇用枠も倍率が非常に高い「狭き門」なので、公務員になるのは簡単ではありません。

配属される部署を自分で選べない

公務員採用試験に合格したとしても、配属される部署を自分で希望することはできません。募集される職種も限られているため、何らかの分野に強い意欲があっても、配属先ではルーチンワークを求められる可能性があります。さらに、他部署への異動を申し入れたとしても、障害者雇用枠は限られているため希望は通りにくいでしょう。

服装や頭髪の自由度が低い

近年の民間企業では、企業や職種によって服装や頭髪の自由度が高いところもあります。しかし公務員の場合は、基本的にスーツ・ワイシャツもしくは制服など、フォーマルな服装が指定されています。自由な服装や髪型などにこだわりがある場合は、公務員の服装規定にストレスを感じてしまうかもしれません。

「こんな人とはたらきたい!」公務員に求められている人物像

厚生労働省の公務部門における障害者雇用マニュアルによると、公務員の障害者雇用では、次のような人物像に当てはまる人が求められるといわれています。

1. 自分の障害特性を理解して必要な配慮事項が明確

職場で合理的配慮を受けるためには、ご自身の障害特性・症状や悪化させないための対策などについて、理解しておく必要があります。さらに、はたらくために必要な配慮事項について、分かりやすく説明できることも大切です。

2. 安定した勤務ができる

公務員は継続的な業務が多いため、体調管理や出勤の安定性が重視されます。勤務時間や通勤方法などの配慮はありますが、職種や部署によっては民間企業ほど柔軟ではないかもしれません。基本的には定時勤務が前提となるので、安定してはたらける状態である必要があります。

3. 必要なコミュニケーションが取れる

公務員の業務はチームで行うことが基本となるため、周囲とうまく連携することが求められます。報連相(報告・連絡・相談)をこまめに行い、必要な情報を共有する必要があります。障害特性によりコミュニケーションが苦手な場合は、事前に説明して配慮が得られるようにしておきましょう。

4. 職場環境に適応する柔軟性がある

公務員は配属先や業務内容が多岐にわたるため、変化に対応できる柔軟性が求められます。特に、配属先を希望することはできないため、状況に合わせて臨機応変に適応する力が重要です。職場の設備改善や支援制度などもありますが、本人の適応力が重要となります。

就労に関する悩みを仲間と共有してみませんか?

就労に関する悩みを仲間と共有してみませんか?

公務員の障害者雇用枠での就労には、民間企業より給与水準が高く、長期就労もしやすいなど魅力的なメリットがあります。ただし、狭き門である公務員採用試験に受かる必要があることや、配属される部署を選べない点には注意が必要です。

公務員の障害者雇用枠ではたらくことをお考えの方は、「公務員採用試験に受かるか」「仕事内容が自分に向いているか」「ほかの選択肢はないか」など、さまざまな悩みを感じていることでしょう。しかし、障害者の就労に関する情報は少なく、こうした悩みをなかなか相談できる場がないのが現状です。

障害者向けのコミュニティサイト「あしたのあるきかた」では、求職中・就労中の障害者の方に相談できるので、もう一人で悩む必要はありません。さらに、Q&A形式の質問や交流相談などで、同じ悩みを持つユーザーと一緒に「障害者雇用のハテナ」を解決できます。この機会にぜひ参加して、ご自身の働き方についてじっくり考えてみてください。

就業意欲のある障害者向け
コミュニティ

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

記事をシェアする

障害者雇用に関心のある方や実際に働いている方が、
相談や情報交換を通じて、より良い雇用を目指す交流の場。
「あしたのあるきかた」

ページのTOPへ戻る
HOMEキャリアのヒント, 公務員の障害者雇用枠ではたらくメリット・デメリットは?求められる人物像も紹介