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適応障害で退職を迷ったら|選択を後悔しないために知っておきたい判断基準と具体策

公開日:
適応障害で退職を迷ったら判断基準と具体策で最適な道を探そう!

適応障害は、発症の原因となったストレッサーと距離を取り、適切な治療を受けることで回復が期待できる精神障害です。職場での理解や配慮が得られる場合は仕事を続けながら治療することも可能ですが、状況によっては退職を検討せざるを得ないこともあるでしょう。この記事では、適応障害で退職すべきかどうか判断する具体的な基準と、仕事を辞める以外の選択肢について解説します。

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適応障害で仕事との向き合い方に悩んだら?退職以外の選択肢

適応障害を発症したからといって、必ずしも退職しなければならないわけではありません。ここでは、退職を決める前に検討してほしい4つの選択肢について説明します。

精神科や心療内科に相談する

適応障害で退職を考えているときは、まず精神科や心療内科の医師やカウンセラーに相談することをおすすめします。自分では大丈夫だと思っていても、専門家の視点からは仕事を続けるのが困難だと判断されることもあるため、重大な決断をする前に専門家へ相談しておくほうが安心です。また医療機関から悪化防止のアドバイスを受けることで、治療と仕事を両立する現実的な方法が見つかるかもしれません。

相談の結果、退職する場合も、主治医の診断書があれば職場への相談や手続きがスムーズに進められます。

職場に業務量の調整や配置転換を打診する

職場の上司や人事担当者、メンタルヘルス専門の窓口などに適応障害になったことを相談すれば「合理的配慮」が得られる可能性があります。合理的配慮とは、障害のある方がはたらきやすい環境を整えるための措置です。個々の障害特性に合わせて業務量の調整や配置転換を行うなど、治療と仕事の両立を助ける役割を果たします。

また、適応障害はストレスの原因と物理的・心理的に距離を置くことで症状が軽くなる傾向にあります。発症の原因が仕事にあるなら、環境調整が改善に有効な手段です。

就労支援サービスやコミュニティを活用する

適応障害になったことを他者へ話しづらく、相談相手が見つからない場合は、専門の就労支援機関を活用するとよいでしょう。具体的には、全国に設置されているハローワークや総合労働相談コーナー、厚生労働省運営の「こころの耳」などが挙げられます。

民間にも、無料かつ匿名で相談できるサービスや転職エージェント、同じ悩みを持つ方同士で交流できるコミュニティなどが多数展開されており、悩み解決のヒントが得られます。誰かと話すだけでも自分の気持ちが整理でき、心が軽くなることもあるので、一人で悩まず支援を活用してみてください。

休職を検討する

適応障害を発症した場合、いきなり退職するのではなく、まず休職することも選択肢の一つです。現在の就業先に籍を置いたまま治療に専念できるため、退職する場合と比べ経済的な不安が軽くなります。

また職場によっては、休職後に「リワーク(復職支援)プログラム」を利用できる場合もあります。リワークプログラムとは、医療機関での治療や、専門の支援機関もしくは現在の職場でのリハビリテーションを受けながら復帰が目指せる制度です。主治医や関係機関などとも相談しながら、休職の適否や適切な休職期間、リワークプログラムの利用の可否を検討するとよいでしょう。

適応障害と退職にまつわるFAQ

FAQ

以下では、適応障害と退職に関してよくある3つの疑問・質問と、その回答をまとめました。

適応障害で退職するのは逃げ?

適応障害で退職するのは、治療に専念するという正当な選択肢であり、決して逃げではありません。適応障害は、何らかのストレスを原因に、誰でも発症する可能性がある心の病です。発症の原因となったストレスから離れることで症状が改善しやすいという特徴があるため、仕事が原因で発症したなら退職は改善ための選択肢だといえます。

無理して仕事を続けると、症状が悪化したり、うつ病や双極性障害などの精神障害を併発したりすることもあるので、まずは治療が最優先です。早期に治療を開始すれば、その分回復が早まる可能性が高いので、自分の体調を第一に検討してください。

適応障害で仕事を続ける・退職するメリットとデメリットは?

適応障害で仕事を続けるメリットは、経済的に安定した状態で治療を継続できることです。一方で、体力的・精神的に負担がかかり続けるうえ、発症の原因が仕事にある場合は悪化の恐れがあります。

適応障害の原因が仕事や職場にある場合は、退職すればストレスフリーな状態で治療に専念できます。また、もっとはたらきやすく、自分の個性を活かして活躍できる仕事を見つけるきっかけになるかもしれません。

他方で、退職すると収入源が途絶え、経済的な不安や職務経歴に空白期間が生じます。とはいえ、こうしたデメリットは、支援制度の活用やブランクをプラスに捉えた伝え方を学ぶことでカバーすることが可能ですので、支援機関・サービスに相談してみるとよいでしょう。

仕事を辞めたくないのに退職を勧められたときはどうする?

勤め先から退職を勧められたからといって、それに従う義務はありません。不当な退職勧奨は違法に当たる可能性があるため、無理に勧められて悩んでいる場合は各自治体の労働局や労働組合などに相談することをおすすめします。
ただし、適応障害が理由であっても、無断欠勤・遅刻や業務上のミス、本人を原因とする人間関係の不和といった重大なトラブルをたびたび起こしている場合は、退職勧奨が法的に正当だと見なされるケースもあります。自身の希望や体調を最優先に、誠実な対応を心がけてください。

適応障害で退職がやむを得ないときに押さえておきたいノウハウ

適応障害で退職がやむを得ないときに押さえておきたいノウハウ

ここからは、検討の結果、退職を決意した際に押さえておきたい4つのポイントについて解説します。

職場への適切な伝え方

現在の職場を退職するにあたって、まずは職場の上司にその意向を口頭で伝えることとなります。誤った伝え方をした場合、スムーズに退職できなかったり、引き止めにあったりする恐れがあるので注意してください。

また、退職の意向を伝えるベストなタイミングも状況によって異なるため要注意です。退職の手続きや流れに関する社内規定が設けられていることもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

退職届の書き方

退職の合意を得た後、一般的には退職届を提出する流れとなります。基本的には社内規定に準じれば問題ありませんが、特に決まりがない場合は以下の内容を盛り込んだ任意の書式で作成するとよいでしょう。

  • タイトル
  • 退職理由
  • 退職日
  • 署名・捺印
  • 宛名

適応障害のある方が利用できる経済的支援制度

適応障害で退職した際には、次のような支援サービスが利用できる可能性があるので、経済的な不安がある場合は活用を検討してみてください。

  • 自立支援医療(精神通院医療)
  • 傷病手当金
  • 失業保険
  • 生活保護

上記のほか、症状が落ち着き、再び就労を目指すときは、それをサポートする専門の支援サービスがあります。

なお、適応障害は一般的に、発症の原因となったストレスと距離を置くことで6ヶ月以内を目安に改善するというのが定説です。しかし、もし症状が6ヶ月以上続いたり、うつ病といったその他の精神障害を併発したりして日常生活や就労に支障を来している場合は、障害者手帳を取得できる可能性があります。障害者手帳があれば、利用できる障害福祉・就労支援サービスの幅が広がるほか、障害者雇用枠の求人への応募も可能になるため、長引く症状に悩んでいる場合は取得を検討してみるのも一つの選択肢です。

適応障害になった方の退職後の過ごし方

適応障害で退職した後は、治療に専念することとなります。基本的には、主治医の指示に従い通院および治療を継続しつつ、休養および生活習慣の改善、ストレスマネジメントの習得に努めてください。

また、治療と並行して、社会保険の変更や離職票の申請、支援サービス利用などの諸手続きを進めましょう。体調を考慮しつつ、こうした手続きを適宜進めることで、退職後の経済的な不安が軽減します。加えて、体調が回復して就労意欲が戻ってきたら、再発予防に努めつつ、今後の生活やキャリアのことも踏まえ、次の就職へ向けて準備を始めることも考えてみてください。

誰かに相談すれば自分にとって最適な道が見つかるはず!

適応障害を発症すると、気持ちが落ち込みやすくなり、冷静な判断が難しくなることもあります。自己判断のみで早まって退職を決める前に、職場や専門家、同じ悩みや目標を持つ仲間に相談すれば、自分にとって最善の選択肢が見つかるはずです。

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就業意欲のある障害者向け
コミュニティ「あしたのあるきかた」

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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