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障害者雇用枠の実態と誤解|統計データから見るメリット・デメリットと働き方の選び方

公開日:
障害者雇用枠の実態と選び方 メリット・デメリットを知り、自分らしい働き方へ

障害者手帳をお持ちの方は「障害者雇用枠」で就労することができます。しかし「障害者雇用枠はデメリットが多い」といわれることもあるので、「一般雇用枠のほうが良いのでは?」と悩む方もいるでしょう。実は、障害者雇用枠のうわさには不正確な情報も含まれています

障害者雇用枠にはメリットも多いので、長所と短所を知ったうえで、ご自身の状況や希望に合わせた働き方を選ぶことが大切です。そこで本記事では、障害者雇用枠はデメリットが多いといわれる理由や、その真相とメリットについて徹底解説します。障害者雇用枠ではたらくことが不安な方や一般雇用枠とどちらを選ぶべきかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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障害者雇用枠はデメリットが多いといわれる理由

障害者雇用枠で就労することについて「デメリット」が多いといわれることがあるのは、一般雇用枠と比較して次のような違いがあることが主な理由です。ただし、ここで解説する内容には先入観や誤解が含まれている部分が多いため、後述するように「デメリット」と決めつけてしまわないことが大切です。

一般雇用枠障害者雇用枠
求人数多い限定的(事務・軽作業が中心)
給与水準高めやや低め(短時間勤務が多いため)
障害の開示  不要必要(開示範囲は調整可能)
合理的配慮基本なし   あり

職種や仕事内容の選択肢が少ない

障害者雇用は一般雇用と比べると、求人数や職種の選択肢が少ない傾向があります。実際に、障害者雇用枠の求人は事務職や軽作業が多く、仕事内容はルーチンワークの比率が高いです。そのため、専門スキルを活かせる仕事やキャリアアップを目指す場合は、障害者雇用枠で就労しようとしても求人が見つかりにくいのです。

給与水準が一般雇用より低い傾向がある

障害者雇用は一般雇用と比べて給与水準が低くなっています。厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査によると、障害の種類別の平均賃金は次のとおりです。

身体障害者235,000円
知的障害者137,000円
精神障害者149,000円
発達障害者130,000円

令和6年賃金構造基本統計調査では、全体の平均賃金は約330,000円となっているため、障害者雇用の給与水準は低めであることが分かります。

障害について開示する必要がある

障害者雇用枠ではたらく障害者に対し、企業は「合理的配慮」を提供します。必要なときに適切なサポートを行うために、企業は障害者の特性や症状について知っておかなければなりません。

しかし、ご自身の障害について開示することに対し、「理解されるか」「社内全員に知られるのではないか」などの不安を感じることもあるでしょう。また、業務量やコミュニケーションなどで「不必要に配慮されすぎる」ことで、かえってストレスを感じてしまうケースもあります。

必ずしもデメリットとはいえない!障害者雇用枠の実態

先ほど解説した一般雇用と障害者雇用の違いには、次のような背景があります。そのため、必ずしも障害者雇用の条件が悪いとはいえないのです。

障害者雇用は比較的、短時間勤務の割合が高い

一般雇用と障害者雇用の平均賃金には開きがありますが、これは勤務形態や労働時間の影響です。厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査によると、障害者雇用枠ではたらく人の働き方には、無期契約の正社員以外の雇用や、週30時間未満の労働時間の割合が高いことが分かります。

障害の種類  無期契約の正社員以外週所定労働時間30時間未満
身体障害者46.8%24.9%
知的障害者82.7%35.8%
精神障害者70.5%43.8%
発達障害者64.7%39.3%

障害者雇用では体調や症状などの都合から、非正規労働や短時間勤務を選ぶ人が多く、実際に多くの職場で導入されています。業務内容や労働時間の差が賃金の差に結び付くのは、一般雇用でも同じことなので、必ずしも「障害者雇用枠は賃金が低い」とは言い切れないのです。

給与水準は経験やスキルによって変わる

障害のある方に配慮しやすい環境を提供するために、障害者雇用では短時間労働やルーチンワークが多いことは事実です。しかし一般雇用枠でも、労働時間や仕事内容によって給与水準は変わります。言い換えれば、障害者雇用枠ではたらく場合でも、経験やスキルを磨けば収入アップを目指せるということです。

就職・転職後に実績を積み上げて、継続的な勤務が見込めると判断された場合は、キャリアアップにつながる仕事を任せてもらえる可能性があります。徐々にステップアップしていけば、将来的に転職する際にも有利になるでしょう。

障害の開示範囲は自分で決められる

障害者雇用は「障害者手帳の所有」を前提とする雇用枠なので、障害者雇用枠で就労する場合は、自身の障害について開示する必要があります。ただし、その開示内容や範囲は自分で決めることが可能です。

例えば、「誰にも知られたくない部分」を伝える必要はなく、社内でどれくらいの範囲の人に開示するかについても、会社側と相談して決めることができます。必要以上に配慮されたくない場合なども、事前に調整しておくとストレスの軽減につながるはずです。

障害者雇用枠で就労するメリット

障害者雇用枠で就労するメリット

障害者雇用と一般雇用の違いやその背景について解説しましたが、障害者雇用枠で就労するメリットについて気になる方も多いのではないでしょうか。障害者雇用枠での就労には次のようなメリットがあるので、「自分に合った環境ではたらきたい」という方はぜひ検討してみてください。

安心してはたらける環境が手に入る

障害のある方にとって、「理解が得られるか」「配慮が受けられるか」は大きな不安です。障害者雇用では、配慮事項について会社側と相談できるので、必要なサポートを受けることができます。

例えば、障害特性に配慮した業務量・勤務時間を調整することや、体調が悪化したときや通院時などに柔軟に休みを取ることができるなどです。理解と配慮が得られることで、安心してはたらきやすい環境が手に入ります。

継続的な成長と職場定着が見込める

障害のある方は、一般雇用枠よりも障害者雇用枠で就労するほうが、長期的に継続してはたらきやすい傾向があります。厚生労働省の障害者雇用の現状等によると、就職・転職してから1年後の職場定着率は、一般企業で障害を開示しない場合が約3割に対し、障害者雇用では7割を超えています。障害者雇用枠ではたらくことで、長期的に安定就労できる可能性が高まるということです。

大企業ではたらくチャンスもある

そもそも障害者雇用は、障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)により定められた制度です。従業員数が一定以上の企業には、法定雇用率以上の障害者を雇用する義務があります。

この法定雇用率は引き上げが続いており、厚生労働省の令和6年 障害者雇用状況の集計結果によると、障害者雇用を前提とした特例子会社を設立する大企業が増えています。つまり、障害者雇用枠ではサポートや配慮も手厚い大企業や、その子会社ではたらけるチャンスがあるということです。

障害者雇用枠ではたらくことが不安な方へ

障害者雇用について得られる情報が少ないことも、誤解や不安が生じてしまう理由のひとつです。だからこそ、障害者雇用枠で後悔のない就職・転職を実現するためには、「情報」を集めることが大切になります。

障害者向けのコミュニティサイトがおすすめ

障害者向けのコミュニティサイト」では、現在求職中の障害者の方や、障害者雇用ではたらいている人と交流できるので、さまざまな情報を集めることが可能です。不安や悩みの相談もできるので、一人で抱えずに仲間と情報を共有することで安心できます。

さらに体験談やQ&A形式の質問や、交流相談で同じ悩みを持つユーザーと一緒に「障害者雇用のハテナ」を解決できるので、落ち着いて自分に合った働き方を見つけていきましょう。

「あしたのあるきかた」で仲間と悩みを共有しよう!

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障害者雇用枠での就労には、「職種や仕事内容の選択肢が少ない」「給与水準が一般雇用より低い」などのデメリットがあるといわれています。しかし、その背景には短時間勤務や仕事内容などがあるため、実際にはデメリットではなく「メリット」も多いのです。実績・経験を積んでスキルを身に付けることで、キャリアアップを目指すチャンスは十分にあります。

障害者雇用枠で就労することで、必要な合理的配慮を得ながらはたらき、長期的な職場定着が見込めます。安心してはたらける環境を手に入れたい方は、ぜひ障害者雇用枠での就労を検討してみてください。

一方で、障害者雇用枠に関して得られる情報は少ないため、疑問や不安を感じやすいことも事実です。そのため、気軽に情報を集めることができる環境が必要です。障害者向けのコミュニティに参加することで、同じ障害を持つ人と交流できるので、ご自身に合った働き方が見えてくるでしょう。「あしたのあるきかた」では、障害のある方が交流できるコミュニティを提供しています。ぜひこの機会に登録してみてください!

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「あしたのあるきかた」

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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