障害者の仕事の探し方で大切なことは?適職を探すポイントとサービスを紹介
障害のある方が就労するにあたり、大きな悩みとなるのが「仕事の探し方」でしょう。ご自身に合う仕事があるか、職場で理解が得られるかなど、さまざまな不安がありますよね。いくつかのポイントを意識することで、ご…
未来のじぶんに、ちょっと先の気づきを
自分らしい働き方を見つけるためのコラム

発達障害のある方は、その特性から、仕事でさまざまな悩みを抱えている方も少なくありません。自分に合った仕事がなかなか見つからず、せっかく就職できても長続きしないというケースも多いでしょう。今回は、発達障害の特性とよくある困り事を踏まえ、仕事探しのコツを紹介します。
まず、発達障害のある方が仕事や就活で抱えがちな悩みや困り事をみていきましょう。
発達障害のある方は、「ワーキングメモリ」という作動(作業)記憶の機能が低い傾向にあり、やる気があるにもかかわらず仕事がなかなか覚えられないことがあります。関心の有無で覚えやすさが大きく異なるほか、決められた手順を覚えるのが苦手な方も多いです。
発達障害のある方が仕事をスムーズに覚えられるようになるためには、自身の特性を把握し、業務内容を分かりやすく視覚化したり、段階的にこなしていったりするなどの工夫が求められます。本人の努力だけではどうしようもないことも多いため、周囲の協力も不可欠です。
発達障害があると、聞いたことをすぐ忘れてしまったり、複数の作業を同時に行うといった複雑な指示に従って行動するのが苦手で、ミスを繰り返してしまいがちです。また、仕事に集中できなかったり、逆に集中し過ぎてしまったりすることで、ミスにつながることもあるでしょう。
発達障害のある方が仕事上のミスを減らすには、自身の障害特性と、失敗しやすいシーンの分析が求められます。併せて、指示や手順を発達障害の方が理解しやすい視覚情報に変換するほか、音や視線といった仕事の妨げとなる環境的要素を極力排除する、段階的にチェックする体制を導入するなどの個別の工夫を取り入れることも大切です。
発達障害のある方は、職場の人とのコミュニケーションがうまく取れないと悩むことが多い傾向にあります。また、指示を誤った意味に解釈してしまったり、不明確な指示が理解できなかったりすることも珍しくありません。
コミュニケーションの行き違いは、本人の心がけに加え、周囲の理解と協力も不可欠なので、一人で解決するのは困難です。障害者専門の支援サービスも活用し、他者との適切な接し方を学ぶほか、苦手とするコミュニケーションが少ない仕事を選ぶことも選択肢となります。
発達障害のある方は、特性によって仕事の向き不向きが大きく分かれます。また、仕事の向き不向きは成功体験の有無が重要な基準となりますが、特性によりミスが積み重なると、自分に合う仕事を見つけにくくなりがちです。
発達障害のある方が自分に向いている働き方を探すには、プロのキャリアアドバイザーの力を借りることをおすすめします。障害者雇用やさまざまな障害に対する深い理解と知識を駆使し、自分にぴったりの仕事や働き方を提案してもらえるはずです。
発達障害のある方は、自己肯定感が低下し「自分には得意なことがない」と思い込んでいる方も少なくありません。そもそも自分を客観視するのは難しいことに加え、特に発達障害があると、特性の悪い面ばかりに注目してしまいやすいからです。
障害のある方が自身の特性や適性を正確に判断するには、第三者の意見を取り入れることをおすすめします。家族や知人・友人といった身近な方のほか、プロのキャリアアドバイザーの意見を聞き、客観的な視点を取り入れましょう。
応募書類の準備の際に作成することの多い職務経歴書ですが、いったい何を書けばよいか見当がつかないという方も多いでしょう。特に、これまで職歴がない、アルバイトしかしたことがない場合、どうすればよいか悩んでしまい、筆が進まないという方も少なくありません。
職務経歴書は、コツを押さえればぐっと書きやすくなります。就活支援サービスでは、記載すべき項目・内容といった基礎知識のほか、特性や経歴を踏まえた推薦状を出してもらえることもあるため、積極的に活用してみてください。
何を聞かれるのか、どう伝えればいいのか分からず、不安のあまり面接に恐怖を感じている方もいるでしょう。面接で聞かれることには意味があり、質問の意図や背景を知らずに準備すると企業にとって見当違いな回答になってしまうかもしれません。
就職活動の面接対策には、ハローワークや転職・就職エージェントなど専門の支援サービスの活用がおすすめです。中でも、障害者のサポートに特化したサービスを利用すれば、面接の基本マナーはもちろん、個々の障害特性を踏まえた受け答えのコツが学べます。

ここでは、発達障害のある方が自分にとっての適職を探すために意識すべき2つのポイントを紹介します。
一口に発達障害といっても、その特性はさまざまです。そのため、障害特性を正確に把握・理解し、それを踏まえた個別の対策を立てることが仕事や就活に関する悩みを解決する基本となります。自分の特性と適性を知れば、仕事を円滑に進める方法や向いている仕事・働き方が自ずと見えてきます。また、自己理解が深まることで自身の特性を正しく言語化しやすくなり、第三者にも伝えられるようになることで、適切な配慮を得られる可能性が高まるでしょう。
仕事や就活に関する悩みは、自己判断だけでは偏った見方になりがちです。第三者の意見も取り入れることで、困り事の原因や自身の特性・適正が正しく把握しやすくなります。
相談先は、家族や友人などの身近な人だけではなく、医師・カウンセラーやキャリアアドバイザーなどの専門家も選択肢に入れてみてください。そのほか、同じ悩みを持つ仲間と交流し、悩みを相談し合うことでも、自分では気づかなかった新たな解決策や選択肢が見つかるかもしれません。
ここからは、発達障害のある方が仕事や就職活動に関する相談先を紹介します。
全国に設置されているハローワーク(公共職業安定所)には、障害者専門窓口があり、障害のある方の仕事に関する悩み相談や就活のサポートを受け付けています。障害の専門知識を持つ職員やサポーターが個々の悩みを聞き、適切なアドバイスを提供します。
発達障害者支援センターとは、発達障害のある方の日常生活や仕事などを総合的にサポートする機関です。特性に関する相談や訓練のほか、ハローワークを始めとする地域の公的機関と連携した就労支援も受けられます。
障害者向け転職・就職エージェントとは、障害者手帳を取得している方へ向けた転職活動や就職活動のトータルサポートサービスです。障害者雇用の専門知識を持つキャリアアドバイザーが、綿密なカウンセリングを通し、本人の障害特性と希望の条件に合う仕事を紹介します。仕事探しや自己分析のアドバイスも得られるので、自分がやりたい仕事や向いている働き方が見つかりやすくなるでしょう。
障害がある方の仕事や就活に関する悩みは、「障害者向け転職支援コミュニティ」で相談してみるのもおすすめです。さまざまな障害や経験のある仲間が集まるので、自身の仕事や就活に有益な情報が得られるかもしれません。また、同じ目標や悩みを持つ仲間と交流するだけでも「一人じゃない」と感じ、気持ちが楽になるはずです。転職活動に関して学べるコンテンツを配信しているサイトもあり、積極的に利用することで仕事や就活のノウハウが身につけられます。

発達障害のある方が自分らしくはたらける仕事を見つけるためには、自らの特性を理解し、言語化できるようなることが大切です。障害者専門の支援サービスも活用し、自分に合った仕事を見つけることで、長く安定して活躍し続けられる可能性が高まります。
本格的な支援サービスの利用はためらってしまうなら、まずはキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」を活用してみませんか。同じ障害や悩み、似た立場の仲間と交流することで、気持ちが軽くなるだけではなく、就職活動の選択肢を広げるヒントが得られるかもしれません。また、いつでも見返せるコンテンツが豊富で、自分のペースで自由に利用できるので、ぜひお気軽にご登録ください。
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員