未来のじぶんに、ちょっと先の気づきを
自分らしい働き方を見つけるためのコラム

20代の障害者の方が転職する際、「自分に合う職場が見つからない」「スキルに自信がない」など、さまざまな不安があるでしょう。転職活動を始める前に職場選びのポイントを理解しておくことで、自身に合った転職先を探しやすくなります。本記事では、20代の障害者の方が転職する際によくある悩みや解決策、納得できる転職を実現するためのポイントを解説します。
20代の障害者の転職活動でよくある悩み
20代の障害者の方は、その若さが理由で転職活動において次のような悩みを抱えがちです。
- 経験やスキルが不足している
- 自分に合った職場を探しにくい
- モチベーションを維持できない
経験やスキルが不足している
「仕事に役立つスキルがない」という20代の転職希望の障害者の方は多いです。しかし20代という若い年齢では、障害の有無に関わらず経験・スキルが発展途上であることが多く、これから十分伸ばしていける段階です。
また、実務経験は少なくても学生時代の部活動やアルバイト経験、趣味などで得た知識や対人スキルも社会人として役立ちます。例えば、アルバイトで接客業を経験した方が身に付けた「相手の立場に立って考える力」は、職場でも十分に活かせるでしょう。障害による困難を乗り越える過程で磨かれた問題解決力や忍耐力なども、はたらくうえで企業に求められる能力です。
自分に向いている仕事や職場が分からない
障害特性によって、向いている仕事やはたらきやすい職場は大きく異なります。しかし、20代の障害者の方は就労経験がまだ少ないため、そもそも「自分に向いている仕事や職場がどんなものか分からない」というケースが多く見られます。ご自身の「できること」「できないこと」を明確化したうえで、得意とする分野の仕事であることはもちろん、障害特性をカバーできる配慮が得られる職場を探すことが大切です。
モチベーションを維持できない
経験やスキルがあったとしても、障害者雇用枠の仕事ではルーチンワーク(定型業務)が多く、スキルを活かす機会が限られてしまうことがあります。思いどおりにキャリアアップができない場合、はたらきがいを感じられず、モチベーションが低下してしまうでしょう。
また、ご自身の障害特性に対する周囲の理解や配慮が十分に得られず、はたらきづらさから意欲が低下してしまうこともあります。はたらきやすい転職先を探すためには、後述する支援機関やサービスなどを活用して、必要な配慮が得られてご自身の適性やスキルを活かせる職場を探すことが重要です。
20代の障害者の方が転職するために必要な準備
20代の障害者の方が転職を目指すために、次のような点を意識して転職活動の準備を進めましょう。
- まずは「自己理解」を深める
- 条件の「優先順位」を決める
- 「障害者雇用枠」での就労を検討する
まずは「自己理解」を深める
20代の障害者の方が転職を成功させるカギのひとつが「自己理解」です。ご自身の得意なことや長所を把握することで、向いている仕事や職種が分かります。また、はたらきやすい環境を会社側に整えてもらうために、障害特性や配慮事項について説明することも大切です。
これまでの経験を振り返ってみると、困難を乗り越えて得られたものや、他者から評価されたことがあるはずです。支援機関やサポートを利用するとプロのアドバイスが得られるため、客観的な視点から自己理解を深めやすくなるでしょう。
条件の「優先順位」を決める
20代の障害者の方が「転職先に何を求めるか」は人それぞれですが、その軸をしっかり定めて優先順位を立てたうえで転職活動を進めることが重要です。例えば「業務内容」「スキルアップ」「給与水準」「配慮やサポート」など、現職の労働環境や雇用条件で物足りないと感じることや、健康的にはたらくために必要なことを考えてみると、優先順位がはっきりしてマッチする求人を探しやすくなります。
「障害者雇用枠」での就労を検討する
障害者雇用枠は、障害者の雇用促進や安定を目的として、一般雇用枠とは別に設けられる雇用枠です。障害者雇用枠では自身の障害について開示し、理解と配慮を得ながらはたらけます。体調や症状に合わせて働き方を調整でき、障害者向けの研修やキャリア支援が受けられるなど、はたらきやすい環境での就労が可能となります。
20代の障害者の方が転職を成功させるためのポイント

20代の障害者の方が転職活動を行う際は、次のようなポイントを意識することで、納得のいく転職を実現しやすくなるでしょう。
- 「企業が何を求めているか」を理解する
- 業種を絞り込みすぎない
- 障害特性に合った職場を選ぶ
- 支援機関やサービスを活用する
「企業が何を求めているか」を理解する
20代の障害者の方の転職活動では、「企業が何を求めているか」を理解して企業にアピールすることが大切です。ただし、同じ20代でも「20代前半」と「20代後半」では、次のように求められることが異なります。
| 年代 | 企業が求めること | アピールすべきこと |
| 20代前半 | 将来性や人間性 | 真面目な人柄やビジネスマナー |
| 20代後半 | 経験やスキル | 企業に貢献できること |
20代前半の採用では、ポテンシャルや人柄が重視される傾向があるため、障害を乗り越えた経験や成長への意欲など、真面目な人柄をアピールしましょう。一方で、20代後半の場合は即戦力になることが期待されるので、前職で培った経験・スキルや資格などを踏まえて、企業に貢献できることをアピールしたいところです。
業種を絞り込みすぎない
20代という若い年代の障害者の方は、これから多くの知識やスキルを吸収できます。業種を絞り込みすぎないようにすることで、これまでの経験が活かせる仕事が見つかるかもしれません。また、「発達障害がある人はIT業界に向いている」といわれることもあるなど、障害特性が有利にはたらくケースもあるため、幅広い選択肢から検討してみましょう。
障害特性に合った仕事内容を選ぶ
20代の障害者の転職でよくある課題が、合わない転職先を選んではたらきづらさを感じたり、無理をして精神的な負担が大きくなったりして、体調を崩してしまうケースがあることです。健康的にはたらき続けるためには、障害特性に適した転職先を選ぶことが大切ですが、そのためには前述した自己理解がカギとなります。適職を選ぶことでご自身のスキルを発揮でき、モチベーションを維持してはたらけるでしょう。
支援機関やサービスを活用する
20代の障害者の転職では経験やスキルはもちろん、障害特性や症状も含めてマッチする職場を探す必要があります。ミスマッチな転職先を選ぶと、早期離職や障害の再発・悪化などにつながり、再度の転職が必要となってしまう恐れがあります。独力で転職先を探すのは簡単ではありません。そんなときは、障害者雇用に特化した転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」などを活用するのがおすすめです。
転職の成功には「情報共有」や「交流」も大切!
20代の障害者の転職に関して得られる情報は少なく、「どうすればいいか分からない」と悩む方は多いです。障害者専門の転職のプロに相談することで、役立つ情報を得ながら転職先を探すことはできます。しかし、いきなり転職活動を始めることや、キャリアアドバイザーに相談することに敷居の高さを感じてしまうこともあるでしょう。そんなときは、同じような境遇の人に相談することで、転職へのヒントを得られるかもしれません。
障害者向けの転職支援コミュニティも活用してみよう
「もっと気軽に情報を得たい」「同じ悩みを抱えている障害者同士で交流したい」と感じたときは、「障害者向けの転職支援コミュニティ」を利用してみるのがおすすめです。障害者向けの転職支援コミュニティを活用することで、障害のある方と交流して悩みを解決しながら、転職のための準備ができるようになります。
あなたと同じように仕事を探している人や、現在就労中の人に不安や悩みを相談しながら、ご自身の障害特性・配慮事項や向いている仕事について見直すことができます。さらに体験談やQ&A、交流相談で同じ悩みを持つユーザーと一緒に「障害者雇用のハテナ」を解決できるので、ぜひお気軽に登録してみてください。
20代の障害者で転職を検討中の方は「あしたのあるきかた」へ!

20代の障害者の方は、転職活動でスキル・経験や自分に向いている仕事などについて悩みを抱えがちです。まずは自己理解を深めたうえで、転職先の条件に優先順位を決めてから転職先を探しましょう。障害への理解や配慮が得られる職場を探すためには、障害者雇用枠での就労も検討してみてください。その際は「情報」を集めることで、後悔のない転職を実現しやすくなります。
しかし、障害のある方が転職のための情報を得るのは難しいのが現状です。障害者向けのコミュニティ「あしたのあるきかた」では、同じ障害を持つ人と交流したり、専門知識があるスタッフのサポートを受けたりすることができます。焦らず自分のペースで進めていくことが、納得できる転職への近道です。まずは、気になる情報から少しずつ集めてみませんか。
就業意欲のある障害者向けの
コミュニティ「あしたのあるきかた」
戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員